ハイハイ、そんなに焦らないで、のんびり行こうよ、と声をかけたくなる白石監督の作品。難しい人間の主題を描くには少し早急すぎて、速作りに徹してしまった。暴力的なシーンを描くのが得意というのはそうだろうが、阿部サダヲと、蒼井優とただ二人だけの密な関係を描くだけでは、だんだん煮詰まってきて息が詰まってくる。なんか、村上春樹風の題名になっている。色彩を持たないーみたいな。
松坂桃李が、不倫相手で出て来て、いちゃついていた。
陣治(阿部サダヲ)は何とか十和子(優)を救ってまともな人間に戻してやろうとするも、十和子(蒼井優)は、この松坂を刺して殺そうとする。過去にも、十和子はかつての恋人の黒崎をやはり殺していた!
それを隠し、助けてやったのも陣治である。そのことを、殺人の記憶を十和子は何故だか、忘却してしまっていた。記憶喪失という自己防衛であった。
だからして、画面でもずっとあのように投げやりで、気怠い様子の十和子であった。
さよなら十和子、楽しかった。しあわせだったなあ!そう言って陣治は、すべての罪を被って高いビルから身を投じた。
鳥が飛ぶ、たくさんの都会の鳥。多すぎるので、見ていてきみが悪い。映画の題名なのに、何で、もっと美しく鳥を撮らないんだろう?
適当すぎだろ。
陣治という名も聞いたことないような、早決まりの名のようだった。