またまた、進化心理学だよ。 こんなの読んだら、教養溢れるかもと、期待して読んだよ。
インデックスには、自閉症児の絵の能力や、キリストの真偽や、ユリゲラーのことがあったので、
一目散に読んだ。
自閉症児の馬や、象の絵は、とても上手くて、驚いた。3歳4歳の子供の絵とは思えない。
この子は、言葉が出ずに、しゃべれない。
8歳ぐらいに、片言が喋れるようになると、輝くような絵の才能は消えて行った。
次は、みなさんご存知のキリストだが、この人の奇跡の行いについて書かれていた。
カナの結婚式の時、水が、美味しいぶどう酒になって、たくさんの人が飲んだとある。
これについてはリルケでさえも、マリアが先導したと言っている。
では山上の説教では、パンや、魚が、どんどん増えるのだ。これもだれかが、あらかじめ準備したのであろうか。
まず、賢いキリストが、子供の頃から持ち上げられていて、すごい天才と思われていたことはあった。
それを後押しした裏方の人間も存在したのではないかとの仮説である。
皆がイエスの神々しい振る舞いに、酔いしれて痺れたようになっていた。
その隙にやればできるかもしれない。
母親のマリア様にしても、いち早く子供の天才性を知った一人であろう。子供の頃から、イエスは、他の子供とは全く違っていたであろう。まして、ハレー彗星の時期と誕生が重なったことや、ヘデロ王の幼児虐殺から選ばれたように免れていたことが、選ばれし者という感情を植えつけたこともあっただろう。
奇跡という問題を、科学的現実的、また人間的な方法でおし測ってゆく。
所謂、妖術(手品)を使ったのではないかと言う、非難されそうな意見を述べる。
水の上を歩く妖術は昔からあったそうだ。
確かに、そういわれれば、そうかもと、おもえる。
では市場あたりで、いろいろな国の言葉を一度に聴いて、キリストはそれらを理解したのは、妖術だろうか。
病人を直したというのは、霊験あらたかな噂を聞いた人々が勝手に免疫力を上げた結果であると。
それもそうかもしれない。彼は人の心を操ることができたことは明らかであろう。
未だ嘗て、現れたことのないものが、人類の前に現れたのだ。
最後の最後に、父なる神に見放されたイエスは、「なぜ、私を見捨てたのか」と叫んでいる。
これはどうしたことか、とある。
鬼の首を取ったような気になる教授は、いたずらな幼稚園の生徒のようにも見えて失笑する。
もう少し何か決定的なことはないのだろうか。
ユリゲラーのスプーン曲げは、もう、悲しいようなストーリーである。
父親は、このショウビジネスの天才児を放ってはおかなかった、ということらしい。
壊れた腕時計も、手で握ることで、古い油が溶けて、また動き始めるのだろうという。
なるほどそうだったのか、ということで、この少し分厚い本を読んだが、あまり頭の変化は訪れなかった。
いや、実際、頭の巡りがよくなったきもする。
現実的な考え方、広く見渡す努力、そういった視界を、もらったような気もする。
ただ、考えてみれば、もっと難解な本はどっちゃりとあると急に思い始めて、ハーバードのエリートとの著者が、このレベルというのは、現代にはびこる悪い夢を見たような気がする。

- 作者: ニコラスハンフリー,Nicholas Humphrey,垂水雄二
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2004/10
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 45回
- この商品を含むブログ (62件) を見る