これは母思いの殊勝な男の物語。
彼の1日は、神社に参り竹刀の素振りで朝が始まる。
そして、亡き母の写真に、手を合わせて、今日も頑張りますと言って、会社にいくのである。
彼は鋼鉄の大きな船を売る仕事であった。
この涙ぐましい男の未来は、どうなるのか。
だが、ある日、突然に、女性のストッキングの世界ストッキングという部署に配属されてしまう。
女のストッキングなどと言う俗悪な下等なものを売るのなんて絶対に嫌だ、と、やけ酒を飲んでみたが
お母さんの幽霊が出てきて、「等や、人生は辛抱じゃ」と、さとす。
お母さんも女だった。お母さんも女性だからきっとストッキングを履いただろうと、気がつく。
よし!卑しい仕事ではない!頑張るどー。
それで会社では、どんどん頑張っていると、社長秘書の浅丘ルリ子に、認められて、営業にあがる。
浅丘は、なぜか死んだ母とソックリである。嬉しくなってやる気が出た彼は
そこでもモーレツに働いて、どんどん出世して行く。
奇抜なアイデアで、どーんとやり、ケチケチとしたことは考えない。
接待と称してどんどん会社のお金を使うので、ルリ子は!ちょっとやくようになる。
なぜと言って、接待では、綺麗どころの芸者を何人も呼び、銀座の一流料亭で飲めや歌え。
バーも高級バーを使うのだった。
とうとう会社に怒られたが、気にしない等は、「損して得を取れ!」といってうそぶいている。
あの社員は、頭がおかしいし、金を使いすぎるから首にしよう!と重役たちがいい出す始末。
浅丘も先頭に立って、あの男を首にと主張する。アメリカ帰りの合理主義、利益主義のおんなであった。
「女のする事は、所詮女の浅知恵」そうはっきり言い切る等先生は女から見ると、頼もしくカッコ良い。
そうしている間にも、あちこちの、有名デパートから取引の契約申し込みが来て、営業の仕事は成功する。
アメリカの大手のメーカーがきて、会社を乗っ取られそうになるがそのアメリカ人を京都奈良大阪をたっぷり案内して、手厚く接待をして、機嫌をとる。日本素晴らしい、日本大好きでーす、といって、
日本の会社が有利なように契約を結ぶのだった。日本の確かな技術を逆に、アメリカに売るのだった。
その間中、等は走りまくり、会社のために人肌もふた肌も脱いで汗をかくのだった。
ただ、運がいいのではない、ただお調子がいいだけじゃない。彼は将来を見据えて動いているのだ。
不思議なことだ、なんと頭の良いことか。
日本の男としての心がけが、なんだか、心を打つ映画だ。
朝、必ず亡き母の写真に手を合わす男、もうこれだけで、なんという感心な男じゃろう
とおもってしまう。
信念を持ってやったことはいつかは芽が吹くものだよね。