婆さん役は倍賞美津子で、この人が、事故の衝撃で20歳(多部未華子)に若返るコメディーだ。
70歳を過ぎている婆さんは、いつも、家族と衝突しがちで、その心がわかってもらえずさみしい思いもしていたが、突然20歳になってしまい、家族に隠れて家を出た。家族は必死で探すも行方不明で捜索願が出される。
彼女は歌を歌うことになり、孫の作った歌を孫のバンドで歌い、評判になる。
孫も誰も、多部未華子が、自分らのおばあちゃんだとは気がつかない。
とうとうフェスの日が来て、優勝すればCDを作って売りだしてもらえることとなっていた。
ところが、孫は、会場に来る途中、事故に遭い救急車で運ばれてしまう。
婆さんは、声を張り上げて、一生懸命に歌い、プロデューサーに認められ、世に出ることになった。
しかし婆さんは孫のいる病院に走り、プロデューサーの前からいなくなったのだった。
本当はすぐに病院に行くべき婆さんだったのにと、ここの筋書きが変に歪んでいる。
元から時空の歪んだ話であるにしても、孫の命は待ってはくれまいに。
20歳の婆さんは孫に献血をしてやり、孫は助かる。
しかし、若い娘は、婆さんに逆戻りしてしまった。
娘は家のことは全ては婆さんに任せて文句ばかり言っていたことを、恥じて、ごめんなさいという。
婆さんには娘の知らない壮絶な過去があった。その事実を婆さんの知り合い(金井克子)に教えてもらいおどろく。
婆さんは昔、つまり戦時中はとても貧しくて、幼い娘が病気しても医者にもつれてゆけず、死にそうな娘をただ、抱いて治し、育てた。人を騙してでも食べるものを買わなくてはいけなかった時代の一人であった。そんな苦労の思い出は一切娘に語らずじまいで、頑固婆さんとして通っていた。
本当は、必死で娘を守った母親であったのだ。彼女は、やはり戦争孤児らと助け合って生きて来たという、道に落ちている虫でさえも食べなければいけないような日々であった。
そこのくだりは、泣けるものがある。だがいつ、またその様な、いやそれよりもひどい日々が、くるかもしれない。
アフリカのケープタウンでは、水枯れが起こっているという。水がなければ、人間は生存できない。
地球のどこかで、何か考えられない様な不気味な事が起こっていると感じるのは私だけではないはずだ。ミレニアムのアルマゲドンはなかったものの。
婆さん役に、倍賞美津子、その友人に金井克子という懐かしいメンバーであった。二人は昔はダンスが上手でよくテレビでも踊りを披露していた。
いまでも、レッスンは欠かさないのか動きは健常なものだった。