2015年の2月にブログに載せていました。やはり懐かしいですね。ザンパノというヤクザな旅芸人と、ジェルソミーナという、ちょっと足らない女とが、旅をしてゆく。彼女は海辺の貧しい家の娘で、家族のための身売りであった。
そんな間に、ザンパノはサーカスの綱渡りの男をなぐり殺してしまう。
その男は、多芸で、ジェルソミーナを一緒に旅をしようかと誘ったこともあった。
女は、ほぼバカで、料理も芸も何にも出来ず、自分のばかさにも飽き飽きしており、生きる価値のない人間だと言って、綱渡りに泣いて話す。
「君には意味がある。生きる意味はある。ザンパノは、口には出さないが、本当は君を愛していて、君に頼っているんだよ。この石ころだって、空の星だって神から見れば、存在の意味があって、ここにあるんだ。」
哲学のようなことを女に教えるのだった。
女が泣く時、私も何故か哀しくなった。地位も、仕事も、お金も稼げない自分に腹が立っていたところだったから。
でもスッキリしたよ。やっぱ、この人いいこというわね。
ジェルソミーナは、綱渡りとザンパノのことをおもって、何も言わずに、海辺の街で死んでしまう。
ザンパノは、彼女が、よくトランペットで吹いていた美しいメロディーを耳にする。
この町で、置き去りにした彼女のことを思い出していた。あれから数年、彼女はやはり生きていたのか?!一瞬そう思ったザンパノだったが。
いや、もうすべてが終わっていたのであった。彼女はオシとなって何も喋らずに亡くなっていったということを、ザンパノは知った。
夜の浜辺で、一人号泣するザンパノ。
海辺で生まれた者は、死ぬまで海を忘れないと言われている。哀れな女ジェルソミーナよ。