ヤクザの抗争の模様を描いた映画。何よりも義理を重んじる古い型のヤクザ者(極道)の大友(たけし)は、大友商会という会社を作り、子分を見ていた。子分が、山王会のバーでゴタゴタを起こし、小さなことから、大きな抗争が始まる。山王会は大きなヤクザの組だが、大友は小さい組みであったため、潰されてしまう。そしてたけしは刑務所に入れられたがそこで 腹を刺されて死んだことにされた。
警察の小日向文世(こひなたふみよ)はセコイ細工ばかりして裏で組みを操っているつもりになっていた。
石原(加藤亮)は元は大友金庫番で、痩せた若い男だった。大友亡き後は、山王会に入り大出世していた。
黒い車(外車)が走り、黒いスーツ、親分子分の盃、指詰め、そんなしきたりが行われて、それに背いたものは、死しかないのだった。どこまでも追い詰めて、殺すのだ。
山王会では元組長が殺されて、その後を加藤(三浦友和)が継いでいた。
あまり人望が無い様子だった。なぜなら組長を殺したのは、加藤本人だったからだ。
見ていると、とうに滅びた日本の武士道に似たような世界がそこにはある。極道の世界はやるかやられるか。武士道のように、血を見たり浴びるのが、賞賛される世界である。
桜のようにいさぎよい散り方がかっこいいのだ。
現代世界では普通見ることのない男気の世界は、何のためにあるのか。
飽き飽きした日常の空気を破る一種の清涼剤か。人間は原始の時の弱肉強の血が騒ぐのか。
人間は平和になって、退屈すると、人をいじめたり殺して暇つぶしする者なのだろう。
たけし監督は、浅草育ちであるから、その辺りにはそんな極道が日夜徘徊していたのだろう。
たけしの映画の多くは、極道の話が多い。そういう世界に惹かれ、心に溜った垢を、極道の世界で流しているのだろう。
どことなく小っ恥ずかしくて、正見できない感じがある。
脅かしの怒声や、表情が面白いくて見ていたが、自分の弱さを隠しているようで、惨めな気持ちにもなる。
最後は、大友は、仲間の仇を取るために、山王会の元組長加藤を、殺して、その葬式に出て、そこで警察の、小日向をぶっ殺す。多分自分ももう死ぬ覚悟であったのだろう。