面白い映画だった。孤児のような孤独な少年トニーのお話。母もなく、父は旅に出てばかりのミュージシャン。
大人になって結婚するが、その女は洋服依存症の病気であった。
トニーは子供の頃から絵を書くのが好きで、絵の塾に通っていた。美大に入り、卒業後は、絵の仕事。
その間もずっと孤独な生活をしていたのだった。他の学生とは根本的に違っていた、といってもよいだろう。絵を書く仕事はうまくいき、彼の生活を支えるのに充分であった。彼は、機械の細密画が得意分野であった。
こんな話が ポツネンと語られ、ほとんど会話もない映画となっている。
小さい時から、家政婦の作るご飯を食べて育った彼。何のしがらみもなく、わずらわされることもなく
ずっと一人暮らしをしてきたのである。
裏返せば、このような生活に我々は非常にあこがれるのであろう。
仙人めいた理想郷である。
宮沢と結婚するが、突然の事故で、宮沢妻は死んでしまう。
次には父も病死する。
また一人になった彼は、これから、どうやって生きてゆくのかということも、
余計なお世話なことであろう。
西島秀俊の、ナレーションの声がよろしい。