アンとギョームこのでこぼこコンビのハッピードラマ。アンは天才的な調香師で、かつては超高額で有名デザインナーの名を冠した香水を作ったりしていた。
ギョームのほうは1週間に1度別れた娘と会える日を楽しみにしているシガナイ運転手であった。運転手な事はショファーと言う。彼は業績が悪く既にクビになるメンバーに入れられていた。
実は天才調香師のアンは過去に匂いが全くしなくなる、鼻が効かなくなるという、こわい病気になったことがあった。それは自然に治ったが、働きすぎというか、精神的な疲れもあった様だった。
今回も、自分の香水を作りたいという願望は無視され、大きな工場の公害的悪臭を正すという難しい仕事につかざるを得なかった。
そんな折、再び、倒れて、無臭の鼻になってしまった。
もう仕事はできないのかも、と悲嘆に暮れるアンであった。
そんなアンの力になったのは、いつもボーとしている能無とも思えるギョームであった。しかし、いつしか二人は、お互いになくてはならない人になっていた。
フランスの誇るアルタミラ洞窟の壁画、これと同じ岩肌を作るというレプリカ計画があり、
こういう国の試みの為に、白羽の矢がたったアン様ー岩の匂いまで再現してゆくらしい。
コレはオークの木の匂い、コレはあやめの根、と、一つ、一つ匂いを嗅いでゆく作業。コレ、犬かもという状態に、付き添いのギョームはビックリしてしまう。 なぜここまでやるの、やらにゃいかんの、と悶えるギョーム。コレって国の企画だぜ?
あっけらかんとしていても、やはりフランス映画は陰影が深く、面白く出来ていると感心した。
わざと口をへの字に結んだアン、わざと身体能力を隠したギョーム(本当はスポーツ選手ぐらい走れる)、突然現れるアンの鼻を治す主治医などなど。
鼻は、目につづいて第二の脳とでも言える微妙なものである。昔から、匂いを嗅ぐのが大好きだったので、なんだろなという感じだった。やはり鼻は大事にしたい。