600年に生まれ、645年に、インドから仏典を多く持って帰還した唐の僧侶である。
素晴らしい、素晴らしい厳しい旅路の果てに天竺につき、ナーランダー寺院で修行しながら暮らした。そこでも、尊い僧として崇められた天才である。
彼がいなかったら、般若心経が、今ここにあっただろうか。
命がけで、仏の慈悲を乞う玄奘は、幾たびも命の危機をそれでこそ乗り切り、水無砂漠を通り抜けたのである。トルコの方に出て、そこから斜めにインドへ下ったのだった。気の遠くなるような距離の旅路は、強い彼によってコツコツとなされてゆく。4年もの年月をかけてやっと天竺にたどり着き、ナーランダの高僧は「唐からの僧がここに来ると言うお告げがあったので、何年も待っていた。」と言う。
旅の途中でも、「ここを、ある高僧が、通る」と夢のお告げを聞いた僧がいた。こう言う所々で、奇跡的なことが起こっていたわけだ。
途中で、少年と旅して、何故、僧侶の服はつぎはぎなのかと聞いた時、高いところで眺めた水田は、四角く切ってあり、あまりにも美しく、自分らの服もその模様に倣ったとあった。