道というのは土手道であるが、それが数十メートル続きどこかで途切れていた。
今日はここを歩くぞ!そう決めて56才の私は子供のように息をした。
だが、途中まで行くと、ボロボロに錆びた鉄の橋があり、しかも幅が50センチもないため車も渡れない。
何のために渡れぬ橋などがかかっているのか。何に使っていたのか?大根でも干していたのか?
もう少し進んで行くとと、青と白のペンキで塗った小屋が道脇にたっている。何となくホッとするのだが、
もっと先へ進もうとすると、ピタリと足が止まる。
なぜか生臭い風が吹いてくる。何だこりゃ?何で空気が生臭いんだ?自分の勘違いなんじゃないのか?
立ち止まって暫し考えた。勘違いではないな。
動物の屠殺場があった場所だとか聞いたことがある。
それともあの深い葦の茂みの中に殺人者が隠れているとか?死体が隠されているとか?
まさか、まさかね。この辺りは鉄炮町という町があったところだと、郷土史に書いてあった。
鉄砲で殺したのか。江戸時代のことなのに?
さあ、行け、今度こそぶっちぎって、向こうまでいくんだ!行くんだ、スッポコ!
なんども励ますも、もう足がいうことを聞かずにすくみ切っている。
それからも二、三回挑戦したが いつも小屋のところで、足がいうことを聞かず、立ち止まってしまうのだった。
あれはなにがあったんだろうて。