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スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。映画の感想を書いていきます。(^o^)

デルス ウザーラ 黒澤最後の峠 1975年公開

白痴その他の情緒的作品を作ってきた黒澤が、精神的危機におちいっていたとき、ロシアから救いの手が、のべられた。ロシアで、映画を作らないかという申し出である。ロシア文学にも造詣を持った彼がえらばれたのは今までの彼のやってきたことに対する評価でもあった。戦争でもない恋愛でも無いオハナシ!それがあたらしい世界感をみなぎらせた良い映画であった。ことさら新しくないのだが、誰もやったことのないものだった。そしてウザーラを愛し理解できる者は自分ぐらいだろうと観客に思わせる力。

ロシアでもさいこうの俳優が起用され、黒澤に敬意をはらった。
シベリアの大自然の森の中である日、土地測量隊の兵隊達がひとりの老人に会う。ザーザー降りの雨の中、老人は出発しようと言い出す。大雨なのになにをいうかとばかにしていたが、少し行くと雨はぴたりとやんで青空が見え出す。「小鳥が鳴いていた。あれは空がもうすぐ晴れるという合図だ」と老人は言った。みながこの老人の猟師を信用し始めた。そして小隊といしょに旅をすることになった。
良い道案内というわけだ。彼は自然界に住む動物などに対して「あの人・この人」という言い方をした。彼は汚ない服をまとい、朴訥で、トラの呪いを怖れていた。黒澤が、「トラ トラ トラ」で失敗した恐怖が、残っていたのかもしれない。デルス ウザーラのトラへの恐怖心は、半端ないものとしてえがかれている。トラの影に怯えるかれは、昼間の叡智に満ちた人間とは別人のようだった。
ともかくウザーラは小隊をたすけまくる。彼がいなかったらシベリアの氷原で皆んな全滅していただろう。彼らを食べ物のあるところにつれていったり、大嵐から守ったりして命を救った。みながこの汚らしい老人に、惜しみなく感謝するのだった。文明社会の人々の知らない自然界の秘密を彼は知っていた。だから、森で生き抜くことができる。そんなシンプルな生活だった。大自然を味方につけて隊はどんどんすすんでいったが、とうとうお別れの日が来た。
「カピタン、さよなら、わしは森に帰る。」そういって何処ともなく消えて言ってしまった。彼はずっと隊長のことを、カピタン(キャプテン)と呼んで尊敬していたのだ。
数年後再会して、モスクワの都会につれてこられたウザーラは、公園の木をマキにするといって切ってしまい、町から文句を言われる。まるで大都会のターザンのようにとまどってしまう。とうとう病気になりねこんでしまう。ハイジ状態だ。医者も森に返すべきだと忠告したこともあり、また森に帰るが、一層年老いたウザーラの事を隊長はとても心配するのだった。それで新式の鉄砲を土産に持たせた。この銃なら、年取っったかれも猟が楽になるだろうと。しかしウザーラは悪者に銃を奪われ、射殺されて死んでしまう。せっかくの文明社会からのみやげ物がアダとなったのだ。隊長はあとでそれを知り、痛恨の極みで唇を噛んだ。
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ウザーラ役のマキシムムンスク。隊長は、ウラジミール アルセーニエフ。

 

デルス・ウザーラ モスフィルム・アルティメット・エディション [DVD]

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