スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

製パン王 キムタック 韓国ドラマ 2010年

おりしも昨年の12月、家でパンを作ろうと、思い立ち、レシピ本を何冊か読んだりしていた矢先だった。全15巻の製パン王キムタックのドラマを、一気に見ると言う荒技になったが、正月とあって、紅白歌合戦も見ずに、必死になってテレビにかじりついた。

見始めると、とても面白く、続きが気になって。トイレに行くのもなかなか行けない。

パンをどんどん作るキムタック青年の話は、興味をそそった。

嗅覚が天才的に鋭いキムはいろいろな匂いを嗅ぎ分けることができた。普通の人が気づかないような匂いがわかる少年。こう言う人を飲食業界では天才というらしい。

だが、この子には、複雑な生い立ちが立ち塞がり、そのために苦難の連続の人生を歩むことになる。

しかし持ち前の明るさが幸いして、次々と助けてくれる人が現れるのである。

タックの父親は大きなコソン食品の会長(社長)であった。工場をいくつも持ち、大手のオゾンスーパーグループ(イオングループ?)とも取引をしていた。しかし、社長の奥様に、男の子ができないばかりに、社長の血を引くタックはとことん憎まれる。社長は、みえっぱりな奥様を敬遠して、自宅看護婦と関係を持ちタックが生まれたのだった。

 

奥さんは、男児欲しさに社長の第一秘書と不倫して、これまた、男の子が生まれたが、社長の子であると偽り、

甘やかして教育したため、とんでもないお坊ちゃまとして育って行く。

いっぽう、タックは、家を追われ、流浪の旅にでるしかなかった。母も、不運に見舞われ、行方不明になってしまう。生死不明であった。

そのため小学校も中途退学であった。

タックは母を探して12年もの長旅をしてあちこち母を探すのだった。

 

そんなおり、偶然にもパルポンベーカリー(お菓子のブルボン?)にたどり着くのだった。

そこは、社長のパン作りの師匠の家であり、店であった。

やっとの思いでここに見習いとして入り、こき使われるようになるが、師匠のパルポン先生は、タックの嗅覚の鋭さや、天才にすでに気がついており、手塩にかけて育てようとするのであった。

そのうち、この店に、奥様の子マジュンがやって来て、一緒に修行することになる。

この子は生意気でいつも、タックのことを乞食だの物乞いの子だのといって馬鹿にするのであった。

とうとう二人の試験の日が来て、タックとマジュンはライバルとして、パンの試験を受けるのだった。

マジュンは、タックの試験の邪魔をして味覚障害になる毒まで飲ませようとする。

先生のレシピ本までコッソリ盗み、バレてしまう。

師匠に見破られ、破門になるのだった。

「マジュンの作るパンは、見た目は華やかだが、なぜか冷たさを感じる。、お前は、わしのレシピを盗んだ。盗んでもその通りのパンは作れなかったのう。」と言われた。

 

実は、マジュンは、自分が社長の子ではないことを知っていたのである。

奥さんと秘書が話しているのを、ある日盗み聞きしてしまったのだ。ただマジュンが社長の子ではない真実を知っているとは誰も気づいていない。

それ以後はマジュンは心にこの重大な秘密を持ち、心が壊れそうになりますます生活は荒れて行った。

 

奥さんと秘書は結託てマジュンを社長の後継にしようと企むのだった。

そのため、タックを殺そうとまでするのだった。

このマジュンの方がある意味残酷な悲劇であると思う。

社長を「お父さん」と心から呼べず、本当の父親の秘書のことは、「おじさん、おじさん」と呼んでいた。

彼の心の苦しさをタックは何も知らなかった。なぜ彼がこんなにも荒れ狂って居るのか、その本当の理由。

破門されたマジュンは、タックに重い恨みをもちつづけた。

 

ただ敵であった人達も、タックの真心を込めたパンを食べると、なぜか幸せな気持ちを味わうのだった。

 

師匠のパルポン先生は、人間として生きる徳というものを一番大切にしていた。

それがなければ、どんなに騒いでも、良いパンは作れないと説くのだった。

「パン職人に王様はいない、名人というものがあるばかりだ。」そう言って

タックに人間としての徳を説き続けて、死んで行った。

「われらは、たかだか一個数十ウオンのパンを作る職業である。しかし、そこに、、人生をかけているのだ。我らは人生をかけてパンを作るのじゃ」

 

 

奥さんの悪巧みも、社長にバレて、殺人未遂で秘書も監獄にはいってしまう。

 

何より、男子でなけれんば後継になれないという韓国の風習に原因があった。

女は決して男の先に立ってはいけない、男尊女子の国風が、強く残る韓国ならではのドラマであった。

社長は特別にかっこよく、よく鍛えられた身体に見えた。

タックも若く、いつもはつらつと動いた。

奥様はとても美人で、ファッションリーダー的存在。

一巻を見れば、次が見たくなる。そんなバカな、とは思いつつ、見れば惹かれてしまう面白い話になっている。

製パン王キムタック

 

 

 

 

 

 

 

小さい時の思い出は、いや記憶は、赤ちゃんの時にさかのぼる

日曜日は、母はお休みで赤ん坊の私のお守りをしてくれた。母は、いつものように、卵お粥を作って持ってくる。

「また、これかよ。お前は卵お粥ばっかで これしか、能がないのかよ。困った女だ」

こんなことを思っていた。そのくせ、祖母が日曜日以外は面倒見てくれていたはずなのにその記憶は一切ないのだ。よそに預けられていたのかもしれない。 かんがえてみれば、母に対して、こんなことを思うなんてひどい話だ。

「ここでいい子してじっとしていないとだめだよ。お粥さん持ってくるまで、いい子でね、待ててね、動いたらダメ、いいね。」

「なんだって動くなだって、 ..この活発な赤ん坊に向かって、よく言うよ。まてよ、わてがどんなに動けるか、見てろよ、教えてやろう。そうだ、この窓枠を超えて向こうの庭に降りたら、きっとママはびっくりするぞ。よし実行だ。おもしろいぞ。」

「あら、赤ちゃんがいないわ!どこに行ったのだろう。まだ歩けない子なのに!」

あわてたママは、あちこち探してかわいそう。 一つ、大声で泣いて居場所を知らせるとするか。バブー!オンギャ、オンギャー、ばぶー。


なぜ子供の頃からこんなに母に反抗してたのかねえ。 あの頃若かった母も、もう93すぎた、母には迷惑ばかりかけてきた。 7時半になると、母も帰ってきて、皆で晩御飯である。 まだ乳飲み子のわてはなぜかユリカゴのようなかごにいれられていて、しかも、階段下の薄暗い空間に寝させられていた。

白いベビー服で、腕にギザギザの縁飾りもついていた。ああ、わては赤ちゃんか。白い服を着ているな。

 

「なんでわてが、こんな薄暗い炭小屋みたいなところで寝かされておるんじゃ。わては、この家のプリンセスとちゃうのんか。よし皆が飯ばっか食って無視するんなら、もっと大声で泣いてやろう! オンギャー!オンギャー!わてはここにおるで、赤ちゃん泣いてるんだから、早くわてを抱っこして揺ってあやすのがあんたら大人の仕事じゃないの、え?」

よくこんな自己中心的なこと考えたものだ!ひどい記憶である。 日曜以外は、守りの婆やさんにおんぶされて、母の職場まで、授乳に通っていたそうだ。 雪の道、池の水、綿入れネンネンベベに包まれて、背中におんぶされて全く寒くない。

おばあさんはわてがずいぶん重かったろうな、なんせ、がっちりした赤ん坊だったからな。 ありがとうね、昼間はいつもわては、バアバンの家でお守りされてバアバンバアバンと言って甘えていた。バアバンが死んだ時は、本当に、感謝で、泣きました。いつも近くのお地蔵さまを拝みに連れて行って拝むのでした。わてが悪い子だったからかな。

 

 

最新版らくらくあんしん離乳食 (よくわかる)

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しあわせのパン 2005年 三島有紀子

皆さま、おめでとうございます。2018年の幕開けとなりました。ことしも手厳しい批評でやってゆきます。

三島有紀子という、ちょっと紛らわしい名前の監督の初めての作品らしい。だが、なかなか良いと思った。

 

北海道の静かなところで夫婦でパン屋をひらき、おいしいパンを毎日焼いている。

店はカフェになっていて、なぜかゲストハウス1組限定の施設もある。

 

村の人々が、ポツリポツリとくる他、毎日コヒーを飲みに来る変なおじさんがいたりする。

「ああ、本当においしいコーヒーだ。」そのおじさんはいつもそういう。

 

お店にはなぜか不幸にうちひしがれた人が集まるようになっていた。暖かさを求め、なぜか、人が集まってくるのである。

そうして何も言わずに出された、暖かいパンと、コーヒー、スープなどを食べている間に、なぜか人々は、元気を取り戻し、自然と心が治っていくのであった。

両親が離婚した、ある小学生の娘を、癒したり、心中を決心して、吹雪の中をやってきた老夫婦を助けたりもした。失恋真っ最中の若い女も、治ってかえっていった。

夫婦が出すのはおいしいパンと出来立ての料理であった。また何も聞かないパン屋のの夫婦のおもてなしが、来た人を何故か救うのだった。

北海道の広い大自然の中でできたチーズ、パンプキン、ポテト、などの、野菜は不思議な力を持っているのだろうか。

 

だが夫婦には、秘密があった。奥さんの原田知世はなぜか、時々塞ぎ込むのであった。

それで、水縞(みずしま)夫婦は、北海道にまでやってきたのである。

奥さんの心を癒すために、夫の水縞くん(大泉洋)は、奥さんと北海道でパン屋を開くことを決めたのだった。

夫のことを、「水縞くん」と呼ぶ、変な夫婦であった。ミズシマという名字が、わらえるわ。

何か子供同士の結婚という雰囲気であるが、どこで、泥臭いところを、ガス抜きしているのか。

誰にもわからないのである。

パン屋に変わり者が多いというのも ほんとうのことらしい。

近所の、手作りパン屋に行ってみると、よくわかるだろう。

 

月とマーニという絵本が何度も登場する。月が、太陽のことをギラギラして嫌いだ、早く太陽を空から無くしてちょうだい、と

 

([み]2-1)しあわせのパン (ポプラ文庫)

([み]2-1)しあわせのパン (ポプラ文庫)

 

 


マーニに訴える。太陽があるから、あなたが輝くの。あなたが輝くから、人は夜でも道に迷わないのよ、と優しく行って聞かせる少女マーニ。

 

 

 

しあわせのパン

しあわせのパン

 

 

 

 

 

トニー滝谷 2005年 宮沢えり、イッセイ尾形 、監督市川準 、原作 村上春樹

面白い映画だった。孤児のような孤独な少年トニーのお話。母もなく、父は旅に出てばかりのミュージシャン。

大人になって結婚するが、その女は洋服依存症の病気であった。

トニーは子供の頃から絵を書くのが好きで、絵の塾に通っていた。美大に入り、卒業後は、絵の仕事。

その間もずっと孤独な生活をしていたのだった。他の学生とは根本的に違っていた、といってもよいだろう。絵を書く仕事はうまくいき、彼の生活を支えるのに充分であった。彼は、機械の細密画が得意分野であった。

こんな話が ポツネンと語られ、ほとんど会話もない映画となっている。

小さい時から、家政婦の作るご飯を食べて育った彼。何のしがらみもなく、わずらわされることもなく

ずっと一人暮らしをしてきたのである。

 

裏返せば、このような生活に我々は非常にあこがれるのであろう。

仙人めいた理想郷である。

 

宮沢と結婚するが、突然の事故で、宮沢妻は死んでしまう。

次には父も病死する。

 

また一人になった彼は、これから、どうやって生きてゆくのかということも、

余計なお世話なことであろう。

 

西島秀俊の、ナレーションの声がよろしい。

 

 

レキシントンの幽霊 (文春文庫)

レキシントンの幽霊 (文春文庫)