おりしも昨年の12月、家でパンを作ろうと、思い立ち、レシピ本を何冊か読んだりしていた矢先だった。全15巻の製パン王キムタックのドラマを、一気に見ると言う荒技になったが、正月とあって、紅白歌合戦も見ずに、必死になってテレビにかじりついた。
見始めると、とても面白く、続きが気になって。トイレに行くのもなかなか行けない。
パンをどんどん作るキムタック青年の話は、興味をそそった。
嗅覚が天才的に鋭いキムはいろいろな匂いを嗅ぎ分けることができた。普通の人が気づかないような匂いがわかる少年。こう言う人を飲食業界では天才というらしい。
だが、この子には、複雑な生い立ちが立ち塞がり、そのために苦難の連続の人生を歩むことになる。
しかし持ち前の明るさが幸いして、次々と助けてくれる人が現れるのである。
タックの父親は大きなコソン食品の会長(社長)であった。工場をいくつも持ち、大手のオゾンスーパーグループ(イオングループ?)とも取引をしていた。しかし、社長の奥様に、男の子ができないばかりに、社長の血を引くタックはとことん憎まれる。社長は、みえっぱりな奥様を敬遠して、自宅看護婦と関係を持ちタックが生まれたのだった。
奥さんは、男児欲しさに社長の第一秘書と不倫して、これまた、男の子が生まれたが、社長の子であると偽り、
甘やかして教育したため、とんでもないお坊ちゃまとして育って行く。
いっぽう、タックは、家を追われ、流浪の旅にでるしかなかった。母も、不運に見舞われ、行方不明になってしまう。生死不明であった。
そのため小学校も中途退学であった。
タックは母を探して12年もの長旅をしてあちこち母を探すのだった。
そんなおり、偶然にもパルポンベーカリー(お菓子のブルボン?)にたどり着くのだった。
そこは、社長のパン作りの師匠の家であり、店であった。
やっとの思いでここに見習いとして入り、こき使われるようになるが、師匠のパルポン先生は、タックの嗅覚の鋭さや、天才にすでに気がついており、手塩にかけて育てようとするのであった。
そのうち、この店に、奥様の子マジュンがやって来て、一緒に修行することになる。
この子は生意気でいつも、タックのことを乞食だの物乞いの子だのといって馬鹿にするのであった。
とうとう二人の試験の日が来て、タックとマジュンはライバルとして、パンの試験を受けるのだった。
マジュンは、タックの試験の邪魔をして味覚障害になる毒まで飲ませようとする。
先生のレシピ本までコッソリ盗み、バレてしまう。
師匠に見破られ、破門になるのだった。
「マジュンの作るパンは、見た目は華やかだが、なぜか冷たさを感じる。、お前は、わしのレシピを盗んだ。盗んでもその通りのパンは作れなかったのう。」と言われた。
実は、マジュンは、自分が社長の子ではないことを知っていたのである。
奥さんと秘書が話しているのを、ある日盗み聞きしてしまったのだ。ただマジュンが社長の子ではない真実を知っているとは誰も気づいていない。
それ以後はマジュンは心にこの重大な秘密を持ち、心が壊れそうになりますます生活は荒れて行った。
奥さんと秘書は結託てマジュンを社長の後継にしようと企むのだった。
そのため、タックを殺そうとまでするのだった。
このマジュンの方がある意味残酷な悲劇であると思う。
社長を「お父さん」と心から呼べず、本当の父親の秘書のことは、「おじさん、おじさん」と呼んでいた。
彼の心の苦しさをタックは何も知らなかった。なぜ彼がこんなにも荒れ狂って居るのか、その本当の理由。
破門されたマジュンは、タックに重い恨みをもちつづけた。
ただ敵であった人達も、タックの真心を込めたパンを食べると、なぜか幸せな気持ちを味わうのだった。
師匠のパルポン先生は、人間として生きる徳というものを一番大切にしていた。
それがなければ、どんなに騒いでも、良いパンは作れないと説くのだった。
「パン職人に王様はいない、名人というものがあるばかりだ。」そう言って
タックに人間としての徳を説き続けて、死んで行った。
「われらは、たかだか一個数十ウオンのパンを作る職業である。しかし、そこに、、人生をかけているのだ。我らは人生をかけてパンを作るのじゃ」
奥さんの悪巧みも、社長にバレて、殺人未遂で秘書も監獄にはいってしまう。
何より、男子でなけれんば後継になれないという韓国の風習に原因があった。
女は決して男の先に立ってはいけない、男尊女子の国風が、強く残る韓国ならではのドラマであった。
社長は特別にかっこよく、よく鍛えられた身体に見えた。
タックも若く、いつもはつらつと動いた。
奥様はとても美人で、ファッションリーダー的存在。
一巻を見れば、次が見たくなる。そんなバカな、とは思いつつ、見れば惹かれてしまう面白い話になっている。
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