フォード車であるグラン・トリノは、名車であるらしく、この車を欲しがる人々も多い。退役軍人のクリントは、頑固一徹のまさに軍人を彷彿とさせる男であるが、姿勢は真っ直ぐでシャキッとしていて一人暮らしの老人といった具合だ。ベッドタウンの小さな家と、多分 退官記念のフォードのグラントリの一台、犬一匹とで暮らしていた。
この作品は特別に思い入れがあったらしく、プロットも実に巧妙に作られていて、イーストウッドの実力をみせつけられることになる。
なぜだかグラン・トリノの歌まで歌っているのが、作詞作曲も彼自身が作った歌でもありカッコ良すぎるというか自信に満ちている。2009年だから、76歳の熟れた年頃である。
彼にこんな歌の才能まであるなんてと、驚いたの何のって.あんな渋々しい男の声で囁かれたらやばいだろう。ついついコレでは終わらんだろうと、見ていると、やはり急激にドラマはクライマックスを迎える.この映画はディスられることを一切介入させないようにあの手この手で、節が結束されているのが、分かるっていうの。でも今更この映画狂いのイーストウッドをどうすることもできず、観る者は金縛りにあってしまうのだった。考えてみれば、イーストウッドという名前もよく付けたもんである。根っからのというものだろう。クリンストは、まさにキリストを訛ったようなひびきである。
教区の牧師さん役の俳優さんも君悪くてピッタリの演技であった.このように細かい所にも容赦のないイーストウッドの演出が光るのかと。
二人の息子たちとは疎遠になり、彼らは老人の父親の遺産を待ち望むといった嫌らしい行動にでようとする者ばかりであった。
強がってはいるが実は肺を病んでいてこっそり血を吐いたりしている彼であった。隣に引っ越してきたアジア人家族を「イエロー」と呼び、蔑んではいるが、愛車のグラン・トリノをその家の子タオと親戚の不良窃盗団とに盗まれて.老人ウオルトはは隣人の「タオ」という少年一人を捕らえた。だが、謝るタオ少年をウオルトじいさんは許してやる。
不良窃盗団らはその後もタオ少年やその姉に嫌がらせをして、家に銃弾をぶち込む暴挙に出る。タオの姉もボコボコにされてしまった.復讐を誓うタオ少年に、「冷静になれ、冷静にならなければ、相手に負けてしまう」と強い声でいう老人。そして仇を取るからといって一人で出かけてしまう老人。
この作品以後は、監督としてのみ活動すると宣言するも、結局またまた俳優と監督という仕事についてしまうから、もうしょうむないんですわ。