行くところ敵なしの武蔵は日本の頂点コジローと闘い、彼に勝利し、熊本城に出向き、隠居をすることにしたのだった。
巌の中に閉じ籠り、この書をかいたといわれている。
もうすでに、数年後には彼の死が待っていることさえ、悟っていたのかもしれない。
人が変わったように、静かに静かに生きていたかれであった。
そこには人生哲学のような、いいえ、祈りのようなものさえ感じる、でも、やはり殺気だった祈りのような強さを感じるのだった。
朝に千回、夕に万回の稽古をして初めて兵法の本物が見えてくるものだ。怠りなく。といっている。
これをずっと続けるのが秘訣であるよと。
名人でさえ、こうならば、わしら素人は、どうすっぺ。
敵と向かい合い、当然、相手に勝つためには、そこはまず平常心で、静かな平常心を持ちて、相手の懐へ、ゆっくりと静かに入り、しかし、離れず、相手をやっつけるのだそうだ。焦りが一番良くないと。
決して焦らず、ゆっくりとゆったりと構えるのがよいらしい。
いろいろ習うとことが多く、彼の人生哲学は、おもしろい。
余計なものを徹底的に削ぎ落とした彼の生き様であった。