まあ、この短いタイトルが良い。「手紙」とだけで、なにか心が動かされる気がした。
キャストも適任な俳優が数名で運営され、分かりやすい。いや少し不明な部分もあったが。
どこにいても、どこに勤めても、受刑者の弟、人殺しの弟と侮られ、仕事もアパートも変えて行かざるを得ない弟のナオキ君。
兄のせいだ、と思って苦々しく生きている。人とも付き合わず人目につかぬように、いつも孤独であった。
ただ仕事の合間に同級生と漫才をコンビを組んでやっているのが趣味だった。コレもあたってテレビにも出たが、兄が受刑者だとバレて、下される。仕事も、何度も変わらざるをえなかった。
優秀な頭の弟のために大学入学のお金を盗み殺してしまった。
刑務所の兄のただ一つの楽しみは、この弟との手紙のやりとりだった。
だが、ことごとく潰されていく人生に、もう兄との手紙は切ろうと決意した。
兄の唯一無二の生きる支えを、彼は切った。その間、何故か、幼なじみの女性が彼の代わりに兄へ手紙を書き続けた。
そこには深いわけがあって、兄の生きる望み、を絶ってはならないと思った彼女は、自分も苦しい運命を背負い逃げまいとしていたからだった。大手電気会社に就職し、また兄のことで地方に流された。
ある日突然、電気会社の会長がやって来て、彼をそれとなく励ました。逃げるのじゃない、コレから一歩づつはじめていけば良いじゃ無いか、
だれだって人間、罪や罪人を恐れるものだ。自己防衛本能だ。君は特別に差別されているわけでは無い、ワシは、きみの事をみまもっているよ。
この大きな励ましで、彼は変わってゆく。結婚し、子供もできた。
刑務所の慰問に行き、漫才を披露した。弟の元気な姿を見て兄は涙ながらに手を合わせるのだった。
変わった映画だったなあ。 宗教的な、愛に満ちたお話。生野監督も良いが、囚人となった玉山鉄二が迫真迫ってくる。
誰の心にも罪と言うものがある。そんなことに気付かされる映画であった。