主演はロレンソ・フェロ という10代の青年だった。頭中くるくる巻毛の、美しい青年だ。
欲望のままに動く悪の天才でもあった。ならずものの親をもつラモン青年と共に窃盗の限りを尽くす。邪魔するものは皆殺しという鉄則らしい。
宝石、銃、絵画など高価な物を大量に盗んでいく。大量というからには店ごっそりぐらいにやってしまう。
拳銃をいつも二丁ズボンに押し込んでいていつでも撃てるようにしていた。
とにかくクレージーな内容だった。青年は「カルリートス」 という名前で、コレがなかなか覚えられない。
綺麗な青年といっても、裸になると、なぜかぽっちゃりしていて、凄みを感じさせない。ボーイズラブの象徴でアニメから抜け出してきたような青年である。この美しさが、かったるい筋書きに鞭を打ち、結局最後まで見てしまった。 なんかやり切れない思いもある。
主役の美しい青年に完敗したと思うことが許せない。
美しさは悪か、善か。
最後には友人のラモンさえ、事故を装って殺してしまう。
耽美主義、ボドレール?の詩のような腐敗臭がつきまとう映画だ。
母親に通報され、最後は警察に取り囲まれ、2階の部屋で一人でダンスに興じる。多くの人を殺した犯人だが、本人自身も最後まで美しいままでという意思で終わった。