スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

バナナフィッシュにうってつけの日  1948サリンジャー作  (a perfect day for Bananafish)

バナナフィッシュのBが、大文字のこの短編は、サリンジャーの短編集ナインストーリーズの冒頭に収められている作品だ。

ライ麦畑は、コレらの短編ののちに書かれた作品となる。

 

大体バナナフィッシュなど、この世に存在するものなのかと言うことから読者は疑うだろう。

シーモア・グラースという主人公は、どの作品でも、問題児であるようだ。彼は著名な作家なのか、彼を追いかけるニューヨークの記者連中が、このホテルに詰めかけている。

ホリデイで、来ていたシーモアとその妻である。記者たちを避けたシーモアは一人浜辺で、小さな女の子にバナナフィッシュの話をしてやる。

あらら、ロリコン?と言った感じの描写に見えるのだが、それを否定する、サリンジャーの力強い筆運びである。

戦争から帰ってから、あの人はいつもあんな風なのと、妻や、妻の母親が、心配ばかりして話していると言った裏書きがあって。母親は、頼った精神科医の言葉を鵜呑みにしていたが、それが的中してしまう悲劇。

 

シーモアと、波打ち際で一緒に泳ぐ女の子。

でも、女の子は、海の水の中にバナナフィッシュを見たとシーモアに告げる。波打際近くで?

バナナフィッシュは、バナナを6本ほど、口に咥えていたと。

アッと驚くシーモアであった。

幼い少女にしか見えない魚であった。  その後は、悲しい結末が、待っている。

 

簡潔で、美しい文体の作品だ。生きていたシーモアが、そこに立っているような、体温感覚がある。

原因はといえば戦争体験が、色濃く影を落としているということがバナナフィッシュに反映されているようなきがする。かなしい体験をユーモラスな魚のバナナフィッシュにたくす。

 

ミュリエル(妻) シビル(少女)  シャロン・リプシャツ(少女) 、 シーモア・グラース(主人公)などが人物たち。