ドイツとアメリカの合作。ちょっと問題作。
15歳の学生のマイケルが出会った女性は21歳年上のひとだった。キチンとしていて、綺麗好きで、勤勉な女性だった。二人は、いつしか恋に落ち、甘い関係を続けてゆくが、ハンナがいつもねだるのは、本を読んで
欲しいというものだった。トルストイだの、チェーホフだの、世界の文豪の作品を愛し、感動で涙する事もあった。
ハンナは、トラムか、鉄道の車掌として勤勉実直であった。ある日、昇進だと言って、事務職にさせてやると言われる。
だが、実は、これは、偽りで、アウシュビッツにユダヤ人を送り込み、それを監視する看守役の仕事であったーこれによって、ハンナは、ナチスの手伝いをすることになる。だが、これは、まるで騙しうちの様なものだ。
戦争が終わって、見ると、彼女はナチスに加担した罪人として裁判で有罪。300人のユダヤ人を殺したことになっていた。
その証拠となったのは彼女の書いたという契約書であった。だが、実はハンナは識字不能の人間で、読み書きができなかったのだ。
若き恋人に本を読ませたのは、そういう理由からであった。
この裁判を傍聴していたのは、かつての若き恋人マイケルであった。彼は、今ではドイツの名門ハイデルベルク大学で法学を学ぶ優秀な学生であった。
彼が証人に立てば、あるいは彼女の刑は軽くなったかもしれない。だが、学生の彼にはその一歩が出来なかった。
その後悔で一杯になり、立派な弁護士になった今も、忘れられないのだった。
だが、一番いけないのは、勤勉な彼女を騙した鉄道会社の上役である。
彼女は刑が終わり、弁護士になったかつての恋人マイケルが、迎えに来る前にに、監獄の中で、自死してしまう。
長い獄中暮らしで、彼女には、既に外の世界で暮らす勇気も気力も無くなっていたのだ。それを思うとかわいそうすぎる。
重い物語を青春を交えて描いた作品。