芥川賞 柴咲友香の原作を映画化した作品。
だが、この映画の主人公たちが事実上恋人になってしまい、東出は離婚という事になった。
この映画自体が、少し変わっていて同じ顔を持つふたりの男の間に挟まれた女性の心が描かれて行く。
東出が、この性格の違う男の二役を演じ分けた。
どちらもカッコ良いが、バクという自由奔放な男性にひかれてしまう女心はわからんでもない。
ただ、まともに生きようと会社員の亮平と同棲している朝子は、二人で、これからずっとまともににやっていこうと暗黙のうちに心に決めていたのだった。新しいアパートも決めて、引越しをしたばかりの時に、数年ぶりに、あの男がやって来た。何年も行方知らずになっていたバクだった。自分と同じ顔のバクに驚く亮平ー俺は奴の身代わりだったんか。
彼は、今では売れっ子のモデルとなって、テレビや雑誌を賑やかせていた。出世したな。
朝子は、真面目な亮平を振り切ってバクと共に果てしない旅に出ていってしまう。
分かるなあ、女心。
捨てられた亮平は、朝子がかえってきても最初は許さなかった。
朝子は、亮平の元へ帰って来てしまったのだーどうしようもなく、だらしの無い女だった。
ただ男も、だらしなく、この女を受け入れて、また一緒に暮らそうとする。やめろやめろ。
この女といっしょにいると、また大変な事になるし、このくだらない生活がだらだらが続くだけなのに。
普通だったら、帰らないし、受けもしないだろう。この男と女のショボすぎる幕引は、
事実上、ほんとうの事のようになってしまった。
監督の指示なのか、ほとんど表情を変えない女優であった。そこが良いという人も多いだろう。
この女優の演技には参ってしまう。苦しくなる一方だった。怪奇現象のような感の時もあり、
思い出すたびに、辛い気がしてくる。普通のようで、まったく普通じゃないように、監督は仕上げたのだ。何かストーリー自体がずるいと思う。同じ顔自体が、あり得ないことなのに。
そうしてみると、きみの悪い題名だわ。
ありえへん。