無謀なストーリーに茫然となるだろうーこういう、簡素化されたストーリーをチャッチャと作れるなんて
度胸のある監督とも言えるだろう。
人間関係が全く描かていないので、訳が分からない感じに陥る。2回ぐらい見て、やっとわかるスッポコ。
だが、島の持つ個性豊かな風景とか、田舎くさい暮らしとか、主演女優の美しさや、上品さ、島のイケメン男、老人など、すべての出演者のキャラが立っていて、作品の手抜きを上手にカバーしているのである。
ナチスにやられた悲劇、島の数人でその気持ちを共有して生きていく。それが読書会であった。
確かに、上品な感じの人々の集まりであるが、ロンドンから来た作家のジュリエットは、この島のそういう、秘密めいたものに心が引かれてゆき、自分もその会の仲間になる。ジュリエットはどこか芯のある気品のある作家という感じである。
だが、誰も心を開いてくれず、よそよそしい。誰も秘密を話してくれない。
都会派のロンドン娘には、この田舎風の暮らしぶりが面白く見えた。自給自足のとても美しい島、ガーンジー島。かつてヴィクトルユゴーがこの島に別荘を建てて、フランスからからのがれて、住んだ島である。そんなことは、映画には、ひとこともでてこなかったが、さすが、この監督の思うままである。監督もそれを利用したのだろう。文学の香りの残る、風が吹き渡り花が揺れる島なのだ。
フランスの英雄ユゴーと関係のあった島、チャネル島という列島の一部であるらしいが、フランス寄りであるーイギリス領となっているらしいが、詳しくは分からない。
主人公のジュリエットは、最後は、ロンドンのお金持ちのフィアンセと別れて、貧しいが、ハンサムな島の男と結婚する。ナチスに殺されたエリザベスの忘れがたみの幼い娘も一緒だ。
何冊か、本も出していて成功をおさめた都会の女性と、自然豊かな田舎っぽい古めかしい島、そのギャップ。上品な擦れていない島の住人たち、特に読書会のメンバーは文学を愛し、それを通じて、お互いに繋がろうとしている。それぞれが、エキセントリックな人生を歩んできた人々でもあった。
ユゴーの娘についての映画があったが、アレは凄かったわなあ。「アデルの恋」っていう映画だったな。これはすべて事実である、と明記されてたな。