チョット詳しい良寛様の本で、ハードカバーである。
1828年の文政10年に北越で、大きな地震が起きた。これを三条地震といった。
緩み切った世の中に、色々サインがあったのに、無視してきた我々という歌を残している。
たくさんの人々が、誠実な心を捨てて、金儲けに目が眩んでいる様子が描かれている。
彼の歌は総じて漢文である。学はあった。新潟でも有名な豪商の家に生まれ、700年以上の歴史のある家であったらしい。だが、トンチンカンな豪遊でお金を使う兄弟もいて、お家は取りつぶしになる。
弟は、そういうタイプの人間であったが、歌詠みに長けていて、大きな流派を作るまでになった。
良寛の家は、どうも文学とかに偏った家系でもあったのだ。
良寛の奇行は、いろいろあって、既存の常識では測れないものだった。
小林秀雄の、「真贋」という作品に、良寛の書についての真偽について一言あるという。
汚くなるばかりの世の中、弱い者はどうすれば良いのだ。
黒いパワーであちらもこちらもあらか様に次々と汚されていく。終わりのない虚飾の世界となった。
「乳虎の隊に入る時、名利をたてようと少しでも思った者は、大海の水を持ってもその欲を消す事はできなくなるのだ」
この言葉に、私は自分を恥じ入って、思い切ることができたと思う。目先の欲は捨ててもよい。
貧乏村でまりつきや、かくれんぼに興じる良寛さんは、働かない怠け者、その良寛が、今の世に、求められ、迷い子の我々に知恵をさずけている。
それに、動じることなく、生きてゆきたい。安寧の場所が欲しい。スッポコの願いはそれだけだ。