馬鹿臭い題名ではあるが、よく出来た素晴らしい作品と言ってもよい。なぜ前田の作品の中でも上の出来である。
大泉洋の生まれ故郷、愛する北海道でのロケであった。
6歳の頃に筋ジストロフィーの難病に罹った大泉であった。
「これは鹿野靖明という人の本当の話である。」
成人してからは、親から離れて独立して暮らすことにした。独立と言っても、たくさんのヘルパーに24時間の介助をしてもらってのことであった。
彼はいつものびのびとした顔で、次々と難題をヘルパーに頼むのだった。
店の閉まった夜中でも、眠れないからと、バナナを買いに行かせる大泉。
ヘルパー達は嫌々ながらも大泉の言うことを聞いてしまうのであった。つまり、大泉のことを皆が好きなのである。彼の生き方が、逆に、心を豊かにさせていたからかもしれない。
全てのことが、介護の人によって行われていく。そんな大泉は、車椅子に乗ったままであったりベッドに横たわっていたりだ。このシンプルな演技も、大変ではなかろうか。三浦も結構な演技であった。クセのない演技は難しかろうに。
大泉にもだんだんと時間が迫ってきていた。自分で呼吸ができなくなりとうとう喉を切開して呼吸器を装着したのである。
通常は声が出なくなるのであるが大泉の場合、高畑が調べてきたやり方で声が出るようになった。
これは大きな奇跡であった。だがこれは実際にあったことであろうか、フィクションではなかろうかと
私は思った。
高畑は教育大に入り教師になった。
三浦はやめかけていた医大をもう一度続けることにして医者になった。
ついに2人は結婚した。
この作品は、「王様とボク」の監督、前田哲である。あのシュールな作品の監督であることが、このバナナでも大いに生かされている。人間愛に裏打ちされた、地味そうだが、スケールの大きい作品になった。
ポルノグラフィティが歌うなんて青天の霹靂。ライブの爆弾ジョニーのキスして欲しいの映像も良かった。爆弾ジョニー？
