獺屋(カワウソや) と言う古物商の男と、偽物作りの陶芸家とが、天下の文化庁の役人や、テレビにも出ている有名鑑定家をだまして、偽物の茶碗を売って、大儲けする話。
贋作作りの名人の佐々木蔵之介は、古物商の中井貴一と組んで、大きな賭けに出る。
堺の茶人の千利休の最後の茶碗と言うものを捏造して作り上げるのだった。
一流の目利きを敵に回して、二人は贋作作りに心血を注ぐぐ。
佐々木は陶芸の達人。中井は、歴史に詳しく、誠淑やかなストーリーを喋くる天才。
この二人が、千利休がもとめた最後の茶碗を仕上げた。
それは、どぎつい緑色の丸い茶碗であった。
せりにかけられて、どんどん値上がりし、国がお買い上げというところまで来たが、ついに見破られて、、偽物だと言われてしまう。
実際偽物なので、しょうもないことだった。
ところが、その後に、あれはやはり本物の千利休の茶碗だった、と言って、二人の有名な古物商が買い付けに来た。
一億円を置いて行った。
頓珍漢な二人の年寄の目利きは、騙された。後になって中井と、佐々木の魔法が効いてきたようだ。
欲に目がくらむと、やはり本物は見抜けないのだろうか。
骨董品ブームでもある昨今、ひと時の休息を求めて、古い本物を味わうのを楽しみにしている人々は多い。
騙されて高いものを買うよりも、本当に気に入ったものを買うほうがよいとおもう。
本物は、伝統に支えられた素晴らしい技術と、人間として究極まで考え抜かれた構図の二つが垣間見られる逸品である。
作者は分からないものも多い、と思われる。
近藤正臣 寺田農、坂田利夫、芦屋小雁などの大ベテランがしっかりとした演技を披露し、心温まる面もあり、いろいろ楽しめる。