監督の作品は、暗いものが多い。
この作品も子供を誘拐された母親の人生を描いている。突然にいなくなった息子を探そうと、警察に依頼したが、何故か反対に、精神病院に閉じ込められて拷問を受ける主人公のアンジェリーナジョリーであった。
こんな理不尽なことがあり得るのだろうか、と、屈しない決意をした彼女。
ただ息子を見つけて欲しいと言っただけなのに。ところが、このように突然息子がいなくなる事件が、多発していた。
同じ年齢の男の子が代わりにやって来た。ジョリーは、どう見ても、息子ではないと思ったが、警察はコレは、息子さんですと言い切った。反抗すれば、また逮捕される。
そんなな警察の不正を正そうと地区の牧師や、騙された市民らが、立ち上がって、ジョリーを救おうと手を差し伸べた。
だがなかなか息子は見つからない。牧師も、新しい人生を始めるように促す。しかし、息子は生きていると譲らないジョリー。
気持ちはわかる。分かるからなお辛いものがある。
そのうち、ある牧場で少年が多数殺された現場が見つかった。猟奇殺人だ。20人もの少年が、小屋に閉じ込められて死んでいった残酷な事件で、犯人も捕まり死刑になっている。
その中の一人の生き残りの少年が現れる。彼は、ジョリーの息子(ウオルター)ことを知っていた。
彼は死んだのか?それは分からない。だが、一緒に逃げた少年の中に、ウオルターがいたのだ。
彼は、残りの少年を助けて逃がしたのだ。
この勇気ある行為の後、ウオルターの行方は知れないのだった。
母親のジョリーは静かに、その場を離れて行った。
静かで、穏やかなカルフォルニアの街、苦しみも悩みもないかのように、歩き去る人々や、車。
美しい町だ。穏やかな風の様子まで伝わってくるようだ。
彼女の時間は止まったまま、なのに。