スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

Tasha Tudor A still water story (静かな水の物語) 2017年

バーモント州のターシャの庭には、美しい自然の花が、伸び伸びと咲いて、かすかに揺れている。

朝露の中で、悪夢を払うような力を持った花の色は、人の心を毎日の様に癒してくれる。

ただ綺麗な花が咲くのを見たくて、植え続けた結果であろう。

多少の見栄もあっただろうけど、まあそこは目をつぶろうと思う。

 

多数の動物の世話は大変そうだし、コーギー犬は性格の良い犬らしいね。

いつもターシャのそばにいて家族の様な感じである。

ターシャは孤独が好きで、こんな田舎の奥まったところに広い庭を作ったのだ。

社交が苦手なタイプらしい。

 

なんども映像化されて、すっかりおなじみになったターシャの庭である。ここでのターシャは91歳。

彼女は92歳で亡くなっている。そんな未来を誰も知らない。やせて、歩き方も、ひどくゆっくりと、転ばぬ様に注意している。 多分これが、最終の映像であろう。そう思うしかない。

庭には、彼女の自慢のオシダ(シダの大きくなるやつ)や、シャクヤク、フロックス、分けてもバラがさいていた。

色々な野鳥の鳴き声がリアルに聞こえてくるのは、ここがいかに森なのかと言うことの証拠だ。

 

低いところには、多くの忘れな草や、シックな色のチュウリップ水仙、ヒヤシンスなど、3月下旬に好んで咲く黄色のアカシヤもしくはエニシダも賑やかだ。ここは北のバーモントなので4月かもしれない。

彼女は、必ず三ヶ所植えて、一番その植物に合う場所を見極めていくそうだ。だからアカシヤも三ヶ所で咲いていた。

 

季節は春で今が盛りの様に芽吹いている。こんな時期を狙ってくるのも、イヤらしいところだ。

ターシャは、促されて、いつもは、歩くことのない庭の奥の方まで、素足で歩き出した。

これは、身体にこたえたと思う。きっと体調も崩したはずだ。以前にも同じことを書いたが。

ターシャと同い年で、やはり92歳で死んだ私の父があるので、体調のことは、わてにはよくわかる気がする。

 

 

90歳前後から、テレビなどのメディアの注目するところとなり、彼女の周辺は急に忙しくなり、

花々も、庭もせわしなくて面白く無くなったのである。

なんというか、広々とした庭が、狭ぜましく見えだしたのである。

歌を歌っていた無邪気な花々も硬い表情に身を固め無理矢理に花らしく演じてみせる。

 

やはり庭は、秘密の花園と言うのが、美しい秘訣でもあるのだろう。

 

彼女は自分がいなくなったのちの庭のことをそんなに気にしていなかった。

成るように成る、そういう、きさくな人だった。

十分に楽しんだ庭は、自分のものだけではない、自然に返すもの、神にお返しするものという覚悟も決まっていたと思う。