米倉の小気味好いリズムで進む銀座のママの戦い。
銀行の黒いお金を横領して逃げた米倉は、銀座の燭台という山本洋子ママの店で働き、すぐに頭角を現し、カルネという店を開きながら、医者や、塾経営者や、政治家に食いついて、お金をせしめていた。
どうせ黒く表に出せないお金だと元銀行員だった彼女は知っていたからだ。
銀座で一番のママになりたい、という野望は、凄まじい戦いの幕開きでもあった。
店で雇っていた若い女の釈由美子は、アバズレで、ママの米倉に釈には良いパトロンがついてヨネクラの店の上の階に大きな店を開くことを決め、挑戦状を突き出して、私の方が、銀座では上だと言い切る。ママには負けないと言い切って出て行った。
米倉はサラリとかわして、銀座一のお店の、ロダンを手に入れるために黒革の手帖に書いてある政治家などをゆすってゆく.伝統と品格と人気を保ったロダンという店は、どうしても手に入れたい素晴らしい店であった。
手帳で弱みを握られた男達は復讐に出て、逆に米倉を騙してロダンを取り上げてしまった。
また、釈を怒らせたヨネクラは逆に、銀行の横領犯人として追い詰められて行く。
最後には警察に捕まってしまう。
美しい衣装、美しい着物、きれいな肉体、これらを併せ持ち、男達をうまく牛耳る技で人気を独り占めの米倉であったが、燭台の山本ママに、あなたは、人の気持ちや女の気持ちを大切にしていないから、きっと、つまづいてうまくいかなくなると、いわれたのだった。ロダンが手に入る前に
その通りになった。山本の貫禄には、世を渡ってきた銀座のママの海千山千の経験があった。
美しいだけの、そしてお金だけのヨネクラは、本当のいじらしい女心がわからなかったのだろう。
操ったつもりの女からも、男からも裏切られたのだった。
一流の銀座のママに昇り詰めようとした彼女であったが、あまりに性急に、そして手荒くやったことは成就しなかった。