織田信長(なかいきいち)、豊臣秀吉(市川猿之助)の頃、武士のたしなみといえば、茶道と華道であったのだ。
侘び寂びの茶道を極めた茶人、千利休(佐藤浩市)は秀吉に仕えていたが、その頃、池坊の華道家池坊専好(野村萬斎)に出会い、生涯の友人となる。専好は、信長の時も、秀吉の時も、大きな生け花を、いけてきた。大仕事を成し遂げたものの、何か物足りなく思っていたが、利休の一瞬一瞬に賭ける茶道に出会い、迷いが吹っ切れた。秀吉の大茶会の際にも利休は庶民にお茶をたて その横で池坊は野の花をいけた。そのような振る舞いは、秀吉の金の茶室を愚弄するものとして、罰せられて、その後は何をしても喧嘩の種になり、利休は切腹をめいぜられる。
そのほかにも猿、サルと言った名もない庶民などをどんどん殺していった。
太閤秀吉は狂ってしまわれたと人々は言い合った。専好の弟子などもたくさん殺されてしまった。
たくさんの弟子や、友人の利休を失った池坊は何もする気が起こらず、自失呆然と日々を送った。
数年経って、専好は気を取り戻し、もう一度秀吉に挑戦をするのだった。
しかし今度は花を使った挑戦であった。
「花は人の心を動かす」という信念のうちに、大松の枝、アヤメ、などをしつらえて、秀吉の家臣の前田の家で披露をしたのだった。
三成(吉田栄作)は、なんとかこの池坊をやっつけようと策を巡らすも、成功しない。
生花を見た太閤と家来たちは、その見事な出来栄えに、息を飲むのだった。
昔猿の絵を描いて処刑された絵師の絵が、再び、いけばなの部屋に飾られた。
それを見てた太閤は怒り出すが、サルは知恵があり、なおかつ軽やかな存在と褒められて、気をとりなおす。
そうしているうちに、松の大きなひと枝が、どさりと畳に落ちてきた。
これは失敗!大失敗!と、松の枝を抱えて目を白黒させて慌てふためく池坊専好を見て、秀吉も三成も皆が笑い出す。ワハハハハ!ワハハハハ!
枝が落ちてきたということは、継ぎ目が甘かったということであるし、花生けとしては、あまりにも素人!
そんなことがまず、許されるわけが無い。というのが田舎のオバさんのじろん。
この映画ふざけすぎではないのかしら?
生花の先生が見たら激おこですぜ。
でもスタッフに沢山の池坊の先生方が入って居られて、このザマですから、なんともよういいません。
玄人集のプライドはどこにいってしまったのやら。
野村萬斎が、イガグリの坊主頭で演じてはいるが、何か、どうしても奥歯に引っかかるものがあって、
暑苦しいと思った。演技のやり過ぎであった。安倍晴明の頃の軽やかさが消えて、奇妙な偽PTA会長のように見えるのだった。ヤバイ。
一方で、監督は佐藤浩市を高く買っていて、利休役はとても上手く撮らていたと思う。