ファウストを読む前に、以前に読んだ親和力を書いてみる。
これ、ズルイですよね。まったく、お恥ずかしい限りであります。
多分ファウストは当分封印されると思う。ハプニングが起きてしまい、読む気が起こらない、忙しくて時間がない等の理由から、しばらく休止符を取る。
わてに天上の歌は響かない。それを聞くだけの人間力がないということかもしんれないな。
親和力はわりかし短時間で読める中編小説である。また不倫のことを扱ったものでもあるので、わかりやすかろう。
ただし、不倫と言っても、俗悪なものではなく神聖さの漂う不倫?であるので真似のできない純粋な心が哀れである。
しあわせな地主の家に夫婦があって、何不自由なく暮らしていて、旦那は庭仕事が趣味である。
その家に、ある一人の少女がやって来る。彼らはその身寄りのない子を引き取り育てることになったのである。もともと遠い親戚にあたるとかで、女学校に行っていたのだが。
この少女オティーリエといって楚々とした娘であったが、勉強はできず、お絵かきも下手で、学校で落第点ばかりとっていた。そのことが問題になり、この少女は学校には向かないと校長が認め、夫婦に預けることとなった次第だ。夫婦の娘も同じ女学校に行っていたが、この娘の方は勉強もなんでも良くできて優秀であると認められていた。派手で、奔放な娘であった。
ただこのオティーリエという少女は世間にはあわせられない 聖少女の類であり、独特の謙虚な雰囲気があり、ただ家事は優れていたのだった。
その家の旦那は、少女オティーリエに惹かれて行く。少女も旦那の温かい態度に心を通わせて行く。しかし、妻子のある旦那に「恋心」というものは抱いてはならない禁じられた事である。
奥さんもにも可愛がられて、頼りにされていたので、幸せに暮らせることに感謝していたのだが、
ある日大尉が家にやってきて逗留した。その間に奥さんと大尉は、恋なかのようになり、特に奥さんが大尉に憧れて、恋をしたようであった。
好事魔多しということわざのごとく、何不自由のない暮らしの中で、魔物は育っていくものだ。
その後旦那はオティーリエへの恋心を振り切るために戦争へ行く。
しかし生きて帰って来るのである。
その後、夫婦の間に子供がうまれる。二人の心は冷めてはいたが、虚しい関係を続けていた。
その結果が、恐ろしい事件につながるのだった。
生まれてきた子は、あまりにも、オティーリエのめとと、大尉にそっくりの身体つきであり、寸分違わぬ目と体つきをしていたのだった。そのため洗礼の日に、牧師は驚き即死してしまう。
奥さんは大尉を思い、旦那はオティーリエをおもいそれぞれの思惑が実った結果となっってしまった。
この子を愛し可愛がるオティーリエの心は複雑であったろうが、奥さんの心はどうであったろうか。
まるで他人のような子供ができたのだから。ギクシャクしたまま、皆は何食わぬ顔で生活を続けようとつとめるのだが。
旦那は、ある日とうとう愛を告白しオティーリエを抱きしめる。二人は二人だけの愛を確信して別れる。池のそばでの出来事であった。動揺したオティーリエは幼い子供を連れて、家路を急いだ。急いだために池を横切ることになり、小舟に乗って漕ぎ始めたのだが、小舟が揺れ、子供が池に落ちた。
急いで引き上げた時はすでに溺れ死んでいたのだった。
胸をはだけ子供を温めたが無駄であった。
この恐ろしい事件の後、オティーリエは変わってしまう。
妻は旦那に離婚してくれと言い、旦那は妻に大尉と結婚するべきだと言い、オティーリエは、二人が元のように仲の良い夫婦であることを祈るのみであった。だがそれはもう全く不可能なことであった。
オティーリエは食事を摂らずに生きていた。ある意味、摂食障害者であろう。
生活は普通に快活にやっていたので、誰も気づかずに、オティーリエの身体はだんだんと衰弱して行った。
そしてついに亡くなる。
オティーリエの代わりに食事を食べていたナニーは罪を感じ、三階から飛び降りた。
その下ではオティーリエの棺が通っていた。ナニーの四肢は砕けていたが、棺に眠るオティーリエの服に触れただけで、立ち上がり歩いて行った。
奇跡が起こったと民衆が騒ぎ出し、皆がオティーリエが聖少女であったことを知り、祈った。
旦那は無気力になり、しばらくして突然死してしまう。
妻は二人の遺骸を並べ葬った。そうせずにはおられなかったのだろう。莫大な金額を教会や学校に寄付をして少女の霊をねぎらうのだった。
このような話は突拍子もない話であり、ゲーテとしても悩んだことであろう。
この話の信ぴょう性をどう描き得るのか、挿話を挟んでみたりしているが完成度は高くはないだろう。
不倫をせずには居れなかった夫婦のことは単純であるが、俗なことであり、オティーリエについてはそれ自体が独立した話でもあり、読者も戸惑うことが多い。水と油のように混ぜてもセパレートしてしまうのだ。ゲーテの失敗作とでもいうべきか、または試作的作品なのかもしれない。
- 作者: ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ,柴田翔
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