これは不思議な話です、という言葉から始まるジャングルブック物語。これを1967年にアニメを製作してから、実写版もあるディズニー社は第3弾としてCG作品をつくりあげたのだ。
人気の訳は、、声優陣の豪華さだろう。また分かりやすいストーリーでもあるし、
歌が更に絶品である。誰でもサントラが欲しくなるような、よくよく練られた歌が聴けることは、シアワセである。
原作はイギリス人のキップリング。ああ、やっぱしな、イギリス人かと思うスッポコである。
ただ彼はイギリスの植民地下インドのボンベイ生まれなので、虎や、像などの野生に詳しいのだろう。
私は、ジャングルや動物の描写においては、完璧を目指すディズニーが、学者を雇っておしえをうけたのだろうと思った。一部はそんなこともあっただろうが、元の原作が、まあ素晴らしく、それに沿って
作ったとおもう。だが、動植物の描写には、かなりの人が関わっていることは聞かなくても想像できる。
主役の少年は手垢の付いていないフツウの少年で、それがよい結果となった。
主役のモーグリ役をただただすなおに演じている。モーグリは狼に育てられた人間の子で、ジャングルの悪い虎に命を狙われ、母親狼やボスオオカミに言われて、ジャングルを捨てて人間の村へと旅つのだった。モーグリは小さい頃、親とジャングルを旅していて、親は悪い虎に咬み殺されて、幼いモーグリだけが生き残った。黒豹が拾い上げて、おおかみが育てることになった少年であった。
声優人には目を見張るものがある。大蛇役のスカーレットヨハンセンや、黒ヒョウのベンキングスレー(ガンジー)
圧巻は、サルの大ボスのキングルイであるが、こんな巨大な猿は見たこともないぞ。
その声はなんと我が愛するクリストファー・ウオーケンであったので、
スッポコの喜びは半端ないのだ。
この人の歌は凄かったというか、ミュージシャンに随分訓練されたとおもうわ。
だってうまいもん、すごくね。サントラ欲しいよなあ。
大熊はのんびりとして、気のいいモーグリにはちみつを集めさせて、じぶんは怠けていることが多かったのだが、やっぱ優しい友達だったんだ。
このクマのバルーの歌う歌は、悩みを捨てて、欲張らずに今日を楽しく生きようという内容で、こころがおちついてくる。カリカリした心の鎮静剤となるようです。
本当は熊のバルーは、欲張りで、モーグリをタダ働きさせてはちみつを集めるので、おかしい。
ある日、モーグリは人間の知恵を使って穴に落ちた子ぞうを救ってやる。大喜びの象たちは、静かに森に去って行く。
どんな場面でも、出しゃばらずexaggerateせず、協調して行くディズニーの方向性に只々感服するばかりである。
CGは、少し物足らぬほど派手さはなく、狼に育てられたモーグリの狼家族はみんな地味なのである。
どっかの犬たちかと思えた。
かといって物足らぬわけでもなく、要所要所では見せ場があっておもしろい。
大蛇は英語でボアと言うと思うが、そいつがすごい巨きな脱皮の抜け殻を落としていたり、モーグリを飲み込もうと近づいて来る様はおそろしい。ヨハンセンの低い声がこわすぎる。
蛇の名は「カー」であるが、このカーという言葉は、どうも欧米人には不吉な言葉らしいですぜ。
アンコールワットの遺跡の様な石の寺院にくらす猿たちは何百匹もいて、そのボスが、想像できぬほどデカくてなあ、人間のモーグリから、「火」をもらおうとたくらんでいた。
動物は火を恐れる。火が扱える人間を恐れている。
ボスはジャングルの王様になりたがっていた。
火さえあれば、それが可能になると。
しかし寺院は崩れ去る。さるたちもチリジリに。
そしてずっとモーグリを狙い殺そうと企らむトラのシアカーンは、モーグリの手にした松明によって起きた火の中へ落ちて死ぬ。
森も火の海となり、動物は逃げ惑うのだった。
しかし、象の群れが現れて、川の水を堰き止めて、ジャングルへと水を流してくれて、山火事は消えてゆく。
平和が来たジャングルで、モーグリは、仲間のもとへ帰り幸せにくらすのだった。 おわり。
余談にはなるが、インドでは色々不思議な話がある。インドの密林では、実際に狼に育てられた姉妹が発見され、牧師に引き取られたが、生肉を食べ、その中の一人は最後まで、二足ほこうができず。人間の言語も話せなかったとある。これは育児の研究の本であり、環境がいかに人間を変えるかという見本になっている。
ただこの話の信憑性はあやしいともいわれている。