スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

たんぽぽ 1985年公開

伊丹十三監督が初めてだしてきた映画。ですから珠玉の作品なんです。なんかお庭に初めて咲いたパンジーのような作品と言えよう。ラーメンという身近だが奥深いもので勝負した。でこちゃんやはずっと「たんぽぽ」を外した作品ばかりを観ていた。たんぽぽはなぜか物足りない、魅力のない作品だと思っていた。わたしも若かったのだね。スーパーの女などはわかりやすくおもしろいとおもった。

まあいい、30年もかかってやっと「たんぽぽ」の価値を認識し、自分も食べたような気がしてよだれがでるのであった。だって、でこちゃんやは日本の魔境のような田舎に住んでいるので、ラーメンを食べに行くにも、服をきがえて
お茶をポットにいれて帽子まで被って一時間ほど運転してやっと町にでるのだから、なかなか食べれないゴチなのだ。まず塩っ辛いのは嫌、あぶらの浮きすぎもいや注文もおおいのでむずかしあるよ。
たんぽぽは女主人公の名前で、あとで店の名前になるのだ。トラック野郎が二人入ってきてラーメンを食べるがやっぱうまくないし、地上げ屋が来ていて「どけろどけろ」とおどかしている。トラック野党がやっつけて、ラーメンのイロハを説教しはじめる。彼等はあちこちで食べているから即席説教もできるらしい。流行っているラーメン屋を幾つも回ってあるく。自分の店と何処がどう違うか見ろという。
たんぽぽは潰れそうな自分の店(亡くなった主人が遺した)をなんとか立てなおそうと必死にがんばるのだった。スープの味のキメテは?めんのヒミツは?難しい問題を次々と解決する行動力には頭が下がる。ずるい手も使って、秘密を盗みもする。彼女は必至だったから、変なことしてるという自覚などない。とうとうラーメンの味を決めた日、トラック野郎その他の友人にラーメンを試食してもらう。
ツユを残さずに丼の底まで吸い上げたらたんぽぽの勝ちである。そして、たんぽぽは勝ち、口うるさいラーメン野郎達から認められたのだった。
新装開店したラーメン屋は「たんぽぽ」という看板をだして無事開店の運びとなった。
いろいろな奇人変人がでてくるのでおもしろい。その人達のラーメンに対するあつい情熱と薀蓄がすごい。
伊丹監督はなぜだかあの世へいってしまった。現世の汚らしい問題がワンサカ押し寄せていたのだろう。金銭?おんな?しごと?芸術?いずれにしてもこの「たんぽぽ」をみると作品の主題と正反対のような思考について首をひねりたくなるし、なにより虚しさ感じてしまう事が自分にも映画に対してもかなしいのである。
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左からトラック野郎ふたりと中央ラーメンに深入りし過ぎて医者をやめホームレスになってしまった老人、食に精通している男、店をリフォームしてくれる建築業者。

 

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