これは、わたしが持っている「モモ」の本だ。
子供のために買ってやった本らしいが、わたしが一生懸命読んでしまった。いろいろな本を捨てたり、売ったりしてきたが、この本だけは大切にされてずっと今日まで本棚の中央あたりで休んでいたのだ。
モモは、表紙に描かれた後ろ姿でしか出てこないようだ。この少女が、じっと話を聞いてくれると人々はいつの間にか、クサクサした悩みが消えてしまうのだった。
あと、デカそうなカメ のカシオペイヤが、モモを導いてゆく。
敵と言ったら、「時間泥棒」という厄介なやつらで、人間たちを洗脳してゆく。
映画「マトリックス」で、スミスという男たちが同じ顔同じ服でいっぱい出てくるのと似ている。
実直で優しかった掃除屋のベッポも、芸能界?を、いや芸術家かな、を目指すジジも
洗脳されて、時間を節約して、あしたの仕事も今日中にしてしまったりして、24時間働く羽目になってしまった。掃除屋のベッポは、宇宙の果てまで果てしなく掃除をする旅に出てしまう。ホウキだかブラシを一本持ったまま。ベッポは、掃除をもうやめようと思っているのだが、何故だか全然やめられないのだった。疲れ切っていた。ホウキは擦り切れて棒のように、服もひどくボロボロで、糸くず様になっていた。
そしてそれは何年も続き、地球上の人間たちはもう計算ばかりの人生に陥って破滅寸前になってゆく。
モモたちは友人や人間を救うために、全身灰色の時間泥棒たちをやっつける対策を練る。忍耐、友情、信頼、愛、この様なアイテムで、
凍った人々の心を溶かしてゆく。モモは自分の時間を十万時間泥棒に差し出して、人間の時間を返してもらったらしいです。
時間というのは、人生の命の時間のことであった。
いろんな意味で、現代の頭に血の上りきった人間に対する痛烈な批判でもある。
モモみたいな女の子に会いたい!たぶん皆そう思うだろう。
ただ人間はもう終末であろうと、私は思う。文明が発達した今、人類の行く手には、暗黒の雲しかないのではないだろうか。