マフィアのドンを決める戦いが、なんと監獄の中で行われていた。そこで勝った男が、外の世界でも、
ドンになるのである。獄内にありながら、外の世界も完全に牛耳るドンである。
子分を集めるために、子分の家族の面倒をきっちり見ると約束すると、子分がどんどん増えて、忠義を尽くすようになった。常に注目され、頼られるのだった。牧師であったら、法王になれただろうと、独白する教授である。
物知りで、賢いこの男は、監獄内で教授と呼ばれ、良きにつけ悪きにつけ、尊敬され、恐れられた。
監獄を出所した子分らは次々と情報をもたらし、ボスのために外の世界の調整をも、やってのけた。
失業者には、仕事をあてがってやる、そんなことも多くやって、顔がきいていた。
教授はまるで、外で暮らしているようなものだった。おおくの情報量を使い、なんでも知っていたのだった。手下も内外に、たくさんいた。。裁判官も、警察も、秘密警察も、彼には一目置いた。
ゴッドファーザーでは、マーロンブランドが、ほぼ喋らずにストーリーや動きが、分かりにくかったが、
この映画では、マフィアの内部で、相談している細かい話などがバッチリわかるのである。
ヤクザの考え方の傾向がハッキリ手に取るように分かるので、納得である。
その辺りが得した気分になる理由である。
裁判では
精神鑑定の結果、精神異常と裁判で判定される。
その後、たくさんの裏切り者を殺してゆく。だが、最後の殺しで、大物の警官を殺しきれなかったために、彼は生き返り、教授は島送りとなった。
そのうち、本当に精神異常をきたすようになる教授。いつまでもトップにいるためには、そうとうの神経を使っていたのだろう。
最後は海の孤島の監獄に送られた教授は、粗末な部屋に閉じこめられる。
監獄で、きっと多くの子分が助けてくれると信じていたが、全て妄想に終わった。
誰も来てはくれなかったのだ。
全てを奪われた。子分に裏切られるほどつらいことはなかったであろう。
絶望の海の孤島の監獄であった。
初めから何処か孤独な不安そうな男でもあった。
このマフィアの組織力が、恐ろしいのである。
どんな組織にも、ヒエラルヒーがあり、組織を握る者からの報復の怖さがせまってくる。
誰も逃れることはできない。
そう言う意味からも、この映画には価値があったと思う。
ドン役にはマルチェロ・マストロヤンにでもよかったかもしれないが、敢えて別の役者にしている。
それはそれでよかったと思う。
この舌を噛みそうな名前の監督は、「海の上のピアニスト」の監督であった。教授と呼ばれたは、初めての映画製作作品である。 あしからず。