この監督、ロードオブザリングの監督だそうだ。ついにリングは見なかったなあ。あれはよく分からない映画だったから。
その監督の念願が、1933年のキングコングのリメイクであった。ひくくながれる音楽は良かった。エイドリアン アンブロディが、ナオミの恋人役で出ていた。戦場のピアノ弾きの男だ。相変わらず細くてヨレヨレで、演技に熱意のない変わった俳優だ。
航路を間違えた船は、霧の中で変な島に着いてしまう。恐ろしい動物が棲む島の様子が、なかなかグロく、キツかった。「骸骨島」という。
なんであそこまで、プリミティブなものになったのか。監督の好みであろうか。
出てくるのは、肉食恐竜、巨大ムカデ、コウモリ、巨大トカゲ、気持ちの悪い大きな虫たちである。
人間もいて、人食い人種のような恐ろしい人間が襲いかかる。
この人々に恐れられているのはキングコングという、巨大ゴリラであった。
このゴリラに、ナオミを生け贄として差し出すと、キングコングが現れて、女をさらっていく。
ナオミを取り戻そうとする人間たちをコングは許さない!
生死もかえりみず、骸骨島のジャングルを走ってゆく男たちは、とうとうキングコングを仕留める。
ニューヨークのブロードウェイで、見せ物にして大金を設けるつもりであった。
が、キングコングは、都会の街に逃げてしまう。
女と高いタワーに上がって撃たれて死んでしまう。
コングは女には、最後まで紳士的にふるまうのだった。
ジャングルのサバイバル映画であり、野獣に対して、知性を持つ人間のずるさが際立つストーリー。
キングコングのCGの表情が、かえって辛く感じるものになった。表情を作り過ぎると、見ているのが困る。
しかしナオミワッツの美しさ、体操選手並みの体力、が、すごい。
ただのストーリー(虚構)とわかっていても、何か差し迫ってくる気持ちがとまらないキングコングであった。