グランメゾンのスタッフの中にスパイがいるということに、皆が気付くようになった。スタッフの一人が、ノロウィルスで病院に運ばれた。ノロウィルスはレストランで、最も恐れられる病原菌である。店の信用をすっかりなくす怖い菌である。
メゾンの店は、自ら保健所に検査をたのみ、カンナはそのことに心底驚く。
何故ならカンナは、生牡蠣に、中毒になる毒を入れようと目論んでいたからだ。また尾花らしか知らない三年前のアレルギー物混入事件の犯人のことが外部に漏れていることで、皆が、警戒し合うようになっていた。
女性スタッフのカンナは、3年前にフランスのエスコフィユ店(尾花らが勤める)事件と深い関係があった。外務省に勤める父親が招待したレストランでアレルギー事件が起きて、外交の来賓が倒れたからだ。そのせいで、カンナの父親は遠い地へ左遷されてしまった。
カンナは、リンダ(富永愛)という食のフィクサーのような女にグランメゾンの内部のことを逐一報告していた。
リンダもアレルギー事件で大きな損害を被ったらしい。リンダも尾花らを憎んでいた。
リンダは、パリの食の高級志向の雑誌の編集者だ。
もう直ぐミシュランの星が決まる🌟🌟🌟日にちが迫っていた。
尾花らは、スパイのことは気にせずに、懸命に新しいメニューを開発しようとしていた。
それはワインに合う料理、いやワインが主役で、ワインを引き立てる最高の料理をつくるんだということ。熱い波がグランメゾンの中でうねっていた。皆が一丸になって最高のものを創り出そうとしていた。
その熱意に、本物の力を感じたカンナは尾花に協力することなった。
スパイのカンナは、ソムリエの立場から、良いワインを選ぶのだった。
尾花らが、ワインのことをとても大切に思っていることに感銘を受けて、もう敵味方の気落ちを捨てて、
尾花らのために良いワインを探し、提供しようときめた。
一方、ガクに勤めている平古は、三年前の事件の真犯人として取り調べられて連れて行かれてしまう。
一生浮かばれれない料理人として生きてゆくことになりそうだった。