顔や身体に、重傷の火傷をした元教師の話。皆に恐れられるので、海辺の隠れた入江に、ひっそりと暮らしている。
そこに、心に問題を持った少年がやってくる。
少年の家庭の事情は複雑で、常に、新しいお父さんが現れるのだった。
少年の父親は、もう死んでいるが、何があったのか誰も教えてくれない。不吉なことを言われたりしていた。少年はなぜか、時々とんでもなく空虚な表情になり、目が空中を泳ぎ出す。
母親は彼を精神科に連れてゆき、診てもらっていた。いろいろな検査。
彼は、入江の家に行って怪獣のような男に会ってから、どことなく元気になってゆく。
彼の家で、朗読をしあったり、馬の手入れをおしえてもらったり、つまり父親のような、爽やかな友情を結んでいく。
男は何も聞かずに、少年に勉強と共に、人生の生き方などを教えていく。
だが、村人や、家族は、怪人のことを差別していて、少年を拐かした犯人のように見ていた。
とうとう、村人と対決する羽目になり、もう二度と少年に近づいてはいけないと言い渡される。
だが少年は、この怪人にあった事で、自分の力で、人生を切り開こうと頑張る少年に変わっていった。
メルギブソン自体が、父親がいなくて、苦労したのかもしれない。
広い心の父親、たくましく男らしい父親、そんなものに、憧れて育ったのだろう。
誰しも、足らないものがあって、不満の中に生きている。
無力であった少年はその後、みごと士官学校の試験に受かり、卒業式を迎えた。
母も異父兄弟も駆けつけて皆が、晴れ姿を見て喜んだのだった。
ただその中に、、静かにさってゆく男の姿、あの怪人であった。
手を振って、卒業を知らせる少年いや、もう立派な青年に、なっていたが。
それを見て、うれしそうに、男は去っていった。
君を遠くからそっと見守っているよ。そう言っているようだった。
醜い故に、差別され、誤解される苦しみ、少年の心の闇、そんな問題を爽やかに解いた作品であった。
ストーリーはいまいちだが、なぜか切なくなる映画である。