がっしりと長い映画であった。
チャドウィック ボーズマンが、ジェームス役で主演だが、彼は、歌も踊りもとてもうまい。
懸命さが伝わってくるようだ。
ただ、体が、細すぎてジェームスブラウンの貫禄が出ていないのが、惜しいところである。
本物のブラウンは、あの、ローストビーフの塊のような、首が太くて肉厚な体躯が、おもしろいのである。
あの体で、ピョンピョン跳んだり、全開またびらきも軽々とやってのける。
足もクネクネ滑って動き、いつの間にかマイケルジャクソンを思い出す。
マイケルは、ブラウンをとても尊敬していた。
この映画で、ブラウンが、どのようにしてのし上がって一流の歌手になったのかが、あまりフォーカスして的確に、描かれてはいない。
子供の頃、極貧にあえぎ、母からも父からも捨てられ、働きながら孤児のようにして育ったのである。
貧しさ故の苦しみを浴びて子供ながらに、何かを感じていたのだが、運が開けたときには、
ものすごいパワーで歌に突っ込んでいった。
誰も歌ったことのないリズム。それは、彼個人の体内からのものだったからだ。
キーッ、キーッ!という金切り声も特徴であるが、こんな声を出す歌手は今までいなかったのである。
有名になるに従って、孤独感にもさいなまされる。
グループは、独裁的なブラウンに反抗して仲間達は去って行った。
ブラウンばかりが王様のように、もてはやされて、他のメンバーは面白くなかった。
新しいバンドと組んで、大きなシアターで、ライブをした。アポロシアターではビッグなライブをして成功する。
時代は、ディスコ全盛時代になり、ブラウンのような個性的な歌は忘れられていった。
ディスコでは、軽いノリの魂のない歌がもてはやされた。
人気が低迷するブラウンであったが、やはり彼のファンはいて、根強いエールをおくっていた。あの存在感は独特であろう。
彼のパワフルな歌声を聞くと元気になるからだった。魂の栄養剤といったところだ。
労働歌のようなフィーリングが、スッポコは好きだ。
彼はなぜあそこまでパワフルでいられたのだろうか?
やはり、薬中ではなかっただろうか。
ふとそんな疑問が心をよぎる。
まあ、このお盆休みに、ジェームスブラウンの映画が観られてよかったよ。
長い映画だったがね。
映画のフィナーレでは、安らかに眠れというような音楽が流れて、まあ、命あるもの皆あの世に行くんだなあと、お盆らしい気持ちになれたのが不思議であったし、嬉しかった。
映画は、最後の歌とかが良いと、全てよしという感じで、最後の締めが大きく響くものである。
この映画は、その意味では成功している。
あとはケビンコスナーの、ボディーガードの最後の歌、ホイットニーヒューストンの歌が良い。
この2個ぐらいかな。
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