あの「キャタピラー」の監督の過激な作品である。
東京爆破を目論んだグループの人間たちの話。
男女混合なので、いつも男と女が愛し合っていて、特に力のあるボスや、綺麗で能力のある女は、いつも男や女に不自由しない設定だ。
爆破の道具を持ち歩き、東京の各所で、爆発させる。兵隊と呼ばれる人間たちは、いつでも死ぬ覚悟であった。
激しい思想を掲げ、激しく徹頭徹尾、肉を切らせて骨を断つ(肉を切らせておいて、その隙に、相手の骨を切り倒すという意)というような行動に徹するのが美徳である、というようなグループであった。
ちょうどこの映画と並行して、浅間山荘の赤軍事件が起こった、のも不思議である。
同じように、足が宙に浮いたような思想を掲げて、闇雲に走ってゆく彼ら
お互いにリンチしあう彼らであった。
勇気ある行動とは、思想を遵法し、死を恐れずに、爆弾を設置することである。何も知らない市民たちを爆死させる事である。 政府を転覆させる事である。
時代は高度成長の絶頂期であったように思うが、そんな折に、起こった事件であるのは偶然とも思えない。
見ていると、何故か、鳥肌が立ってくるほど、真に迫って怖くなる映画である。
人間が、ある思想によって、このように、気がおかしくなって元に戻れなくなるというのは危険な状態だ。だが人間の極限とはこのように気の触れたようになることも、理解できるのである。
なので、三回に分けて見なくてはならなかった。
この映画を観た後は、私まで、なるほど、これで、一仕事終わったと、思った次第である。おかしいけれど、それが感想である。