カフカの童話の中で、「オドラデク」と言うのが出てくる。スラブ語ではないかとも言われている。
これは、「お父さんの心配」という短い話に出てくる奇妙なあるものである。
オドラデクとは何か?
糸が巻いてある木の様なものだそうだが ツノが二本ぐらいある、ヒトデの様なかたちをしている。形容しにくい変な形をしている。勝手に動きもするがいつも家に帰ってくる。
とにかく、オドラデクのことをなんであるのか誰も知る人はいない。
何に使うものなのか、なんの役に立つのかなど、いくつもの疑問があるのだが、結局わからないままなのだ。
わては、この話が気に入っている。
お父さんは自分が死んだ後、このオドラデクがどうなってしまうのか、ふと心配になるのだった。
子供や孫ががこいつをどんなふうに扱うのかと考えてしまうお父さんであった。
カフカには、夢と現実がごっちゃになった様な話が、当たり前であり、出てくる動物なども、珍種が多いのが当たり前だそうだ。
どれもそれぞれ、面白いのだが、「一枚の古文書」では、匈奴というモンゴルに住む野蛮な者たちが、
私たちの国に攻めてきたという話である。
自由を奪う政治、権力、この様なものに対するカフカの怒りがすっぽこにもわかる。カフカは本当は気の弱い内気な性格だったという。そんな彼でさえも、自由を脅かすものには激しい怒りを燃やしたのだった。彼はユダヤ人であったが、それ以前に、彼は彼であった。
この本には、変身も含まれていて、再読したが、やはり奇妙な作品であることに変わりはなかった。
大きな不気味な虫になった人間。つまり、邪魔な役に立たないものは排除しようとする社会かつ家庭。お金の問題でしょうか。そんな世の中だからね。
とても哀しい物語で、社会風刺とも言える。それもとても哀しいものだ。
現代の引きこもりを予見している様で、先見の明があり、意味深いと考えた。