九條は、次期番長と言われていて、どこかわからないが凄みのある生徒であった。
ある日次期番長を決めるため二年生ら数人が屋上に集まった。
屋上の淵に立って手を叩く動作をして、最後まで残ったものが一番体力と度胸があると認められて、
目出度く番長になるという儀式である。
最後まで手がたたけたのは、やはり九條だった。
其れ以来、学校は九條のシマとなった。
彼に逆らう者は、許されない。部下を連れて構内を歩く九条(松田龍平)であった。
一の子分は、幼馴染の青木(新井 浩文)であった。青木は、やはり大きな顔をする九條が羨ましくてならないのだった。
学校ではいろんな不良がいて、便所で殺人したりも日常茶飯事であった。
野球部の部員の一人はは卒業とともにヤクザに迎えられて行った。黒塗りの車に乗ったら、それっきり、堅気とはおさらばだ。
虚しい気持ちが起こることもある青春である。
五蘊盛苦と言うのかもしれぬが、彼らは虚無と興奮を行きつ戻りつ、生きる意味を究極まで確かめているのだった。
青木は奮発して、屋上の淵に立ち、手をたたく儀式を一人でやっていた。死ぬ覚悟を決めていた。
校庭では皆が驚いて見上げる中、青木は手を叩き続けた。九條に対抗するために。
とうとう、屋上から落ちて当然即死。ああ、これが青春なのかと、思って見ていた。
九条は止めようと、全速力で走るも、遂に間に合わず、唯一の友の青木を失ってしまう。
音楽もよくて乗ってしまうし、不良の演技をさせたらピカイチの松田である。