田舎の文化祭があってがあって、絵画や、習字などの力作がかざられる。秋日和もあって、何度かに分けて見に行った。うむ、よくわからんが、力作もある。
だがやはり、前衛的なものが少なかった。まあ普通文化祭で、前衛的な作品は出さないけどね。
ただ今年は少し趣向を凝らして、若い色々な人が出品をしたんだ。
気に入った作品は一つだけであった。前衛的なものであったが、うまく言えないが、これこそ芸術です、ご覧ください、という押し付けがましさがなく、素敵であった。人間、いや芸術とはこうでなくっちゃ!とポンと響くような気がした。
これが大事なのである。つまり目に見えぬものこそが永続的であり、芸術的なのだ。
リルケが言っているが、芸術に一番大切なものは、良心だ、と。
あとは悪いが、どうでも良いようなありきたりな絵や、陶芸もあり、誰も本気でやっている人はほぼいなかった。心のなまってしまった場合、それははっきりと作品に現れてくるのだと、今更わかった。
スランプというのも、割とはっきりとわかってしまうものだ。
その人はもう、何をどうして良いのかわからなくなってしまっているのだった。
ルオーのまねごとのような絵を書いていても、
本当に描きたいものなど無いのが本心であった。
ただ描けば良い。それだけで良いから、初心に返って描いたらどうだろう。きっと生き生きとしたものになるのでは。
まだ若いアーティストも多く、これからだと思ったが、彼らがどこまで本気かによると思った。
残念なことに、全く別なことを考えているかのようだった。たとえば、打ち上げの具は何にしようかとか、知り合いが来ているだろうかとか、挙句には、求愛の相手がいるかどうかとキョロキョロする若者が多かった。心ここに在らずである。
おまけに、わてはおばさんだからか、煙たがられて、恋路の邪魔者であったのだ。
わてが何度も足を運んだのは、実は、実際の生の画家たちにあって、いろいろ聞きたいことがあったからだ。一人二人は、真面目に教えてくれたのだが、全く、迷惑がる人たちもいたのだった。
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