浮き輪のように空気を入れて大きくなったビニール人形のメグミ。ある男のものであった。
ある男は、この人形と暮らしていて、人形を本当の女のように扱っていた。昼間はバイトで店で働いているしがない奴であった。
人形を恋人として扱い今日あった話をしたり、一緒に寝たりと、なくてはならぬグッズになっていた。
人形は、ご飯も食べないし、文句も言わないので、いいな。
洗濯や料理も作らなくていいからいいな。
男のオモチャになっていれば済むんだし、いいな。
生身の人間であったら、病気もするしいろいろめんどうくさいことばかりだよ。
しかし人形は、ある日、心を持ち、アパートを出て、ビデオ屋で働くようになる。
そこのバイトの男と仲良くなって デートするようになる。
昔の家に帰ってみると、新しい人形が、ベッドに寝ていて、もうそこには自分の居場所が無くなっていた。
ビデオ屋の若い男の家に寝泊まりして、また男の人形として暮らすようになる。
私は、彼を愛している。私は心というものを持ったのだ。と思う人形であった。
だがこの男、とんでもないできの悪い奴だった。
「君の体の空気を抜いて遊びたい」という男。
自分の空気を抜いたり入れたりさせて、寝そべる人形。
愛してもらえると必死で男の言うことをきいた。
「私もあなたの空気を抜いてあげるわ。」そう言って男の腹を切って空気穴をつけた。
すると腹から血が流れて行き、男は死んでしまう。
人形をもて遊んだバチがあたったのだろうか。
使わないものはゴミになって、ゴミステーションに置いとくんだよ。
そんなことを聞いたことがある人形は、男の死体をゴミの日にゴミ置場にすて、じぶんも我と我が身をゴミ置場に投げてトラックが来るのをじっと待つのだった。
心を持ってしまった人形の役を韓国女優が美しい裸体であらわした作品。
女は人形でさえも心を持つ。そしてアレコレと胸を痛めて悩むのだ。
男は即物的な生き物で、目にした女を獲物にしてゆくということだ。