若い原田が、集団就職で東京に出てきた若者の一人を演じる。
東京の都会の力に流されて段々と崩れて行く生活、他の仲間たちも、ほぼ夢破れ、故郷へ帰って行くものが多かった。故郷というのは、東北地方がおもであるが。
しかしなぜなのか。何がいけなかったのか。
巷では大学生らがデモ行進を繰り返す中、原たちの集団就職組は、そんなデモとは無縁であり、贅沢なものであった。そのギャップは大きいものであった!
中でもこの主人公の原は、永山則夫がモデルであり、貧困ゆえの厳しい家庭生活、家庭の破壊を、味わってきた。学校にもろくにいかずに中学卒業後、東京に出るが、仕事場ではうまくいかず、辞めてしまい、なぜかどんどん崩れてヤクザの出入りする店で働いたりするうち、警官のピストルを盗み、次々と
人を殺して行く。お金を持たないため、タクシーに乗っては運転手を殺していく。
とうとう捕まって監獄に行くが、ニュースは母親に迫ったりして、大騒ぎであった。
母親も貧しさゆえに子供をたくさん抱えながら、必死に働き、そして子供らを愛したのだ。
それでも、貧しさが全てを破壊して行くのだった。何が悪かったのか、何が、彼らを破滅へと流したのか。
社会か、政府か、人間の心か。
かくして永山は死刑囚になったのだが、裁判では幾度か、育った過程にを鑑みるということが行われてきた。字も書けない彼は、監獄で勉強し、本も書いた。(無知の涙)
立派な家庭に育っても、犯罪を犯してしまうのが人間だ。
永山は我々の身代わりとも言える壮絶な青春を駆け抜け、そして死んで行った。