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スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。映画の感想を書いていきます。(^o^)

破れ太鼓 1949年 木下恵介監督

阪東妻三郎といえば坂田三吉で有名だ。また田村正和はじめ、三人の田村兄弟の父親としても結構有名な役者である。まあこんなのが通説だ。この映画を見るのは2度目なのだが、やっと理解できて、めでたし めでたしとなった。女2人に男が4人の大家族の主人は、土建会社の社長で、とても威張り腐って、家族も女中たちまでも嫌っていた。女中はプイっと出て行けば良いけど、家族はそこまで軽くない。父親の横暴にじっと耐えて暮らしていた。しかし皆んなどこか明るくてお金持ちらしい暮らしを続けられていたのだった。

だがいつの間にか、会社は火の車になり倒産寸前にまでおいこまれていたのだった。この会社を彼は一代で築き上げ、若い時から苦労の連続で勝ち取った地位であったのだった。家族を守るために頑張りすぎたあげくに、家族から毛虫のように嫌われるようになってしまったのは、どこか同情の余地がありそうである。長女は会社を救うために政略結婚をさせられる予定になっていた。

長女はある若い画家(宇野重吉)と知り合いになり惹かれあっていた。画家の両親は、飛んでる人々いや芸術家であった。世俗らしさが殆どなくて油絵を一日中描いたり、バイオリンを弾き続けるといった人たちだったのだ。世の中は、戦時中か、戦後すぐぐらいで、食べることすらままならず、芸術など、ほぼ価値のない空腹の時代であったのだ。そんな時代に、ここまで超然と芸術に打ち解けているというのは、驚きでしかない。その2人は、母は東山千榮子、父親は、滝沢秀であり、2人が、フランス語の歌を歌いながら、ぶらぶら散歩している様は、なんともすごいものがある。この映画自体が、戦後4年であり日本はまだアメリカに統制されて混乱期であった時代だ。

東山は、東京物語や、白痴などに母親役ででているが、美人ではないのに、なぜあのような味のある不思議な演技ができるのか。全く参ってしまう。

さて父親に反対する妻や子供は、次々と家を出ていくのである。妻(村瀬幸子)は初めて主人から離れて一個人になったのだった。長女も例の画家の家に行ってしまう。芸術家の両親ははいつまでも独身の息子に綺麗なお嫁さんが来たと喜んで歓迎していた。(

長男も、独立して起業する。それはオルゴールの工場で、夢があり、海外とも取引が始まっていた。

長男は父をこの会社に招き上手く動いて経営の役につかせようと思っていた。長男は、やはり長男として父親を立てたのだった。父親も口には出さぬが、心の底では喜んでいた。長男の工場には出て行った妻も子供らもいたので、また家族一緒の生活が始まったのだった。

だがもう彼は、破れ太鼓ではなかった。人の言葉を聞くことのできる良き父親、理解ある人間へと変わっていたのである。

 

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