スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。映画の感想を書いていきます。(^o^)

アキレスと亀 2008年 北野武監督

北野たけしが、ベネチア映画祭に出した作品と思っていたが間違っていた。ゴメンナサイ。
彼は映画作りに情熱をもやしており、それ故自信もあった。落ち着いた感じに仕上がっていて、自分は亀のように焦ることなく自分のやりたいように映画を作るんだ、というメッセージが強く出ていて気持ちが良い。自信を持つことは心の健康には大切なことだ。「アキレスと亀」の説は、理数科系に進むはずだったたけしの過去の残像のようなものだ。

子供の頃から絵ばかり描いているマチスという少年の話だ。小学校でも授業中に絵を書いているが先生も見逃している。大金持ちのうちのお坊ちゃんであるし、どちらにしても絵を描くのを止めることは誰にも不可能なことだったと思われる。それほど、少年は絵に打ち込んでいた。「天才」という言葉が囁かれた。一種の発達障害であるのかもしれなかったが。

  ところが父親の絹糸の会社が倒産し、父はマチスの本当の母であっただろう芸者と命を絶ってしまったのだった。
孤児となった少年は、親戚にあずけられる。そこでも絵ばかりかいていて手伝いなどしないので、おじさんにさんざん怒られる。
そこで、とうとう孤児院に預けられる。しかし彼は大きくなってからも、絵をかくのはやめなかった。
絵をせっせと画商に持っていくのだがことぐとく否定されていく。ただそこの画廊には、マチスが子供の頃に書いた絵がデーンと飾ってあるのだった。昔、ある画商が若くして亡くなった天才の絵としてその画商に売ったものだった。マチスは、それでもなにも言わなかった。自分の絵だと気がついているはずなのだが。
その稚拙な感覚の絵は稚拙さゆえに何か天才の片鱗を持ち合わせているように見えるのだった。

有名な話だが、この映画の絵画は全て北野監督が描いたものである。これは驚きだがこの才能が、映画を作る源になっているのだと思う。でもなんかちょっと気持ち悪いかな。
成人後は、住み込みで働いて美術学校にも行く。学校に行ったのがよかったのか悪かったのか。
彼の個性はそこで摘まれてしまったようなものだった。ただいろいろ変わり者の集まる美術学校であった。
彼を好きになった女の子と結婚して生活費は女に払わせて、自分は絵に向かい、なんとか世に出ようと
苦心惨憺するのだった。妻(樋口可南子)はそれに耐え彼を支えていくのだった。女の子も生まれるが、ひどい暮らしは続き、大きくなった娘はお金のために売春をするようになる。そのお金もマチスにせびられるのだった。絵の具代であった。
その一人娘も、事故かなんかであえなく死んでしまう。

全てが自分の芸術のためであった。過激にやり過ぎてしまい妻は夫の殺人未遂犯として警察に捕まってしまう。これもマチスが命令して芸術のためにやったことであった。
それで、もう限界だと言われて、妻は家から出て行った。実際のマティスも、家族に大変な支配欲で圧力をかけたり怒りの爆発を制しきれなかった。そして、妻も息子らもみんな彼のもとを去ってしまうのだった。実際のマティスと映画の主人公は重なるところが多いみたいだ。どちらもハッショウであるのだろう。
もともと妻なしでは生きても行けない映画の主人公であった。彼はとうとう、行き詰って焼身自殺を実行するのだった。それでもなぜか死にきれないマチスであった。死ねないのは、やはり生きろという知らせであろうか。ルンペンのようになってとぼとぼ歩くマティスは、拾ったコーラの缶を20万円で売ろうとフリーマーケットに座っていた。
「これください」見上げるとそれは、マティスの妻であった。

追記・…  たけし軍団の頃、余りにも目立たない柳憂怜というのがいた。スッポコはなぜか彼が大好きで、熱烈な隠れファンであった。彼はあれからどうしているのだろうと、常々心配していたのだった。
この映画で若き日のマチスを演じていた。また陶芸家の映画hazanにも出ていた。大陸から来た陶芸家であり波山の手伝いをする役だった。
まあ彼もなんとかやっていることを知り、ほっと胸をなでおろしたスッポコであった。

アキレスと亀 [DVD]

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マティス: 知られざる生涯

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