踊る男では、老人が若い男のマスク(お面)をかぶり、夜な夜なダンスホールに現れる。熱狂的に踊っている最中に、倒れこみ、医者がマスクを剥ぎ取ると皺だらけの哀れな老人の顔が現われた。彼は本当は踊りの名手であったが、、老人であることは誰も知らなかったのだ。確かに、面白い踊りであったのだが。
医者が彼を馬車で家まで送っていくと、貧しい長屋のなかに妻が待っていて、夫のへんな癖をなじるのだっ「夫は老人で病気持ちなのに、夜、踊りに行くことをやめてくれない。」
「私は不幸な結婚をしてしまった。」
と医者に身の上話をはじめる。「でも人生ってこんなものだろう。私はこれでも、彼に感謝しているのだしね」
「こんな話を医者様に話したりして、許してください。」
ただ、そういった庶民のお話であった。
第2話は酒場の女たちが、田舎の教会にでかける。毎晩男と遊ぶのが職業の彼女たち。
その明け透けな生きるバイタリティーは周りも明るくするのだった。汚れた生活のために薄まってしまった淡い光ではあるが、必須なものだった。
村の教会では、ミサがおこなわれていた。厳かな儀式の中で、なぜか感涙にむせぶ女たち。
その涙が村人達に伝わり、皆が涙を流しはじめた。何かが琴線に触れた。
聖女ではない女達の中にあった、清らかな心を、きっとキリスト様が祝福してくださったのだと
村人は思ったのだろうね。
特別なお話というものでもなかったが、まあ、モーパッサンという事であしからず。
- 作者: モーパッサン,長塚隆二
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 1952
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