スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

丹下左膳 、百万両の壺 2004年 豊川悦司 和久井映見

 f:id:dekochanya:20160128205532j:image豊川悦司の時代劇など見たくもない。と意地を張っていたスッポコであったが、テレビでしていたので、ついつい見てしまった。まあ面白かった。画面の明るさとか、色のトーンが非常に綺麗で、考えて練り込んだ調和が生きていた。明るさや色は、意外と重要だとわかった。最初から最後まで、それだけで見てしまったような気さえする。なぜかとっても懐かしい空気の色と空間の広がり方というものがあった。これは何であろうか。無理のない空間の広さである。広すぎず、せますぎず。子供の頃遊んだ部屋とか家とかを思い出す。

豊悦は着物が似合わない。せが高すぎるのだ。ただ昔、体を斜めに切られて、右腕と眼を切られていた。それを聞いたときは、なぜか母性が疼いた。彼はそんな不自由な身で、用心棒などして、肩肘張って生きて来たのだ。
長屋に住む孤児が金魚を買っている壺を、お城の殿様が探していた。孤児を可愛そうに思い、左膳と女房殿はその子を引き取って育てはじめる。女房と言っても愛人だろうが、子供嫌いで通している。だがいつの間にかその子をかわいがるようになる。左膳も何のかんのいってもその子に情がわいてしまっている。お城の殿様が、壺を探しに来て、その子のお守りを見て、驚く。
 「この子はあるお城の殿様の子だ」 ということがわかり、その子を迎えに家来たちがやってきて、立派な籠に乗って去ってゆくのだった。左膳も皆が涙を必死にこらえているのだった。
こちらもウッとなって、涙が出そうになる。でもなぜなの?これぐらいの話に涙腺緩むなんて、おかしいわい。と言ってもなぜか何故か、胸が詰まって、涙涙。また孤児の男の子が、かわいらしい。風情に品まである。左膳は、昔自分を切ったサムライと真剣勝負で闘うが、その勝負は結構きつくてすごい立ち回りなんだな。丹下左膳は、剣術の名人という設定だから、当たり前だがな。
でもやっぱり着物は豊悦はにはあまり似合わないよね。
片岡知恵蔵主演の昔の映画も見たが、ごちゃごちゃしていて筋さえわからなかった。だがこれはすんなりと飲める薄めのジュースのようで、筋も分かりやすくてて助かった。和久井の演技がキツくて、江戸っ子のキレの良さを出そうとしたのだろうが、ちょっとこわもてではあった。が、なんとか最後までこぎつけた。
プロットなどを簡潔にして、わかりやすくし、おどろおどろしい時代劇から遠のいたのが、とても斬新で、監督の手腕に感心した。ただ、それをさりげなくやってのけたのは、本当に立派なことである。
 
 
 
 
 
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