スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

ターシャ・テューダーの生活

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ターシャは92歳で亡くなる少し前にカメラの前で庭を紹介することを断わることができなかった。自分だけでそっと隠し持っていた家宝の名刀をおバカな民衆にわたしてしまったのだ。もともと庭と言うものはおのずと人々の前に姿を現わしてしまう性質を持っているものだ。年も年なので、隠すのにくたびれたのでどうぞお好きにご覧くださいと、質ながれのように流してしまったのでしょう。
やはりターシャも一人のか弱い女であった。最後の最後に惜しげも無く財宝でもある庭を開放したということは、彼女の断れない気の良い性格からでもあった。またお金を息子らにのこそうとしたために撮影を承諾したのかもしれぬ。律儀な性格で、それが長所で短所なのであった。でもそういう嘘のつけない性格だからこそ、このような庭が作れたのである。だからしかたのないことではあった。それでメディアと彼女は水と油といった具合に撮影が進んでいくのであった。と想像できる。すべてを呑み込んで濁流の洗礼を授けずにはおかぬメディアのビームは彼女にとっては毒であったが、遅過ぎた。途端に魅力を失っていく彼女の庭。ほんとうはもっともっと美しいはずだったのに、カメラアングルからは、ポイントどりか全体どりかになって、とても平面的になってしまっている。気の毒である。えてして頑張って生きてきたひとの人生も、こんなふうだ。
私事ではあるが、亡父も同じような年に同じように亡くなった。細い体の働き者だった。ターシャを見るとき、92歳で亡くなった畑仕事の好きだった亡父と重ねてしまうくせは、ゆるしてほしい。彼も90過ぎてもジャガイモや玉ねぎをたくさん作ってくれたのです。ターシャの働く姿は、私の思い出と等しいのです。
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