スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

殯の森(モガリノモリ)2007年 河瀬真美監督

河瀬のフランス映画ということになっているらしい。場所は、奈良らしい。奈良にはこんな平たい里山が豊富にあるってことか。行けども行けども笹や細目の木が生い茂る雑木林である。

ヘルパーの真知子(尾野真千子)はしげきさん(ウダシゲキ)というお男の世話をしている。彼は若くして奥さんを亡くしていた。

その後認知症を発症したのか。一方、真知子の方も、幼い息子を亡くしていてまだ傷が癒えていないのだった。自分の不注意で息子は死んだ、と夫からも責められていた。こんなこと周りから言われてたら、たまらんで。

さてうだしげきことシゲキだが、この人が老人の中では一番若く殆ど老人ではない。周りはヨボヨボなのに、シゲキだけは、筋肉もついていて、動き方にむだというものがない。

コリャア、おかしげなことだわ。

ある日、アウトドアーが好きなシゲキさんのために真知子ヘルパーは、車で外に出ることになった。

ちょっと、そこまでのおでかけのつもりだったのだが、道が消えた場所で(これ、田舎ではよくあることです。)車が動かなくなってしまった。車輪が、溝にはまってからまわりしてるだけだろう。

スッポコもよくこんなことになってSOSを何度か発している。いやーバツが悪いもんですわ。

スッポコの場合、いつも誰か来てくれて助けてもらっている。いやー運がいいのよ、わたし。

 しかし真知子とシゲキの場合は、良くなかった。シゲキはどんどん勝手に逃げて行方不明になってしまった。驚いた真知子は、必死になって、探し回る。彼は、スイカ畑で、スイカを割って食べていた。

これは人間の手の入った畑であり、人工の範囲内にあったのだ。ここで終われば、なにも苦労はなかったのだ。しかし彼はまたどんどん勝手に山へ入って行ったのだった。そこはもはや、人間の手の届かないような、動物と遭遇するような山の中であった。いや、道はあった。これは人工の道で、人間が通るために作った人間道だ。ただ草木が深く生い茂っている。見ているものもだんだんと不安になる。

問題は携帯が圏外になってしまった事だ。これはもう迷ったという事なのか。

このような状況で、なぜか真知子は、シゲキに頼る。変な事だ。早く人間世界に帰らなければ、本当に迷って帰れなくなってしまうと、見ている者は焦りだすのである。

シゲキさんは元気で、どんどん歩くのである。ヘルパーもただそれについて行くのだ。

これもおかしげである。真知子は進み続けるシゲキさんを止めることもできないのだ。

ついには2人はシッカリと抱き合ったまま暖をとって一夜を明かすのである。これは大変な事に!

やっぱシゲキは只者ではなかったってことだね。

認知症の男とヘルパーが抱き合うなんてね!別に認知症ということにこだわりがあるわけではないのですが。だって、シゲキさんはなんか色っぽいし、結構いい男なんだな、これが。やっぱフランス映画なんで。

いやー、やめてくださいよ、監督。

その後、2人はそれぞれに亡くなった者たちのために、何ができるのかとか、生きている自分たちに何ができるのかとか、いろいろ考えて、回り回って、森の中で、涙を流し、心の浄化をはかるのだった。

ここまで来なければ、解決できない心の苦しみ、悩みというものが2人にはあった。

真知子は、ここに導いてくれたシゲキさんに、感謝して人間として生き返ることができたのであった。

 

スッポコは、この夏の暑苦しい森の中では、撮影などまっぴらごめんです。きっと虫にいっぱい噛まれるんだぜ。

トイレにもいかない、ご飯も食べない、お茶も飲まない。ちょっと2人とも、人間らしいところが省いてあって、へんなかんじ。それに実際の山は、こんなにヤワイ場所ではないとおもうよ。

監督はそれを、いとも簡単に庭を歩くピクニックのように描いている。これはそもそもまちがいだとおもう。

彼女は所詮、都会人なのだろうか。山はただの「手段」になってしまってるんだよ。

山はもっと切なくて、かなしいものだよ。

 

 

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ハドソン川の奇跡 2016年 クリントイーストウッド監督 トムハンクス主演

またもやお前か、イーストウッド監督、いつまでも粘るねえ、ネタぎれせんとみえる。今回はニューヨークを流れるハドソン川とトムハンクスにまで手を伸ばしてきたのです。

我々のトムハンクスにまで。

鳥がエンジンに進入しておこっってしまった飛行機事故の映画ですが、これはパニックものではありません。機長の人間的な、苦しみの面からみてとったストーリーになっています。苦しみは、奇跡が起きて、百五十五人もの乗客が助かった後に、ジワジワとおこってきます。飛行機会社や、警察や、マスコミなどの大勢のものから、機長のとった行動の是非が問われていました。川に落ちれば、とても危険だからです。機体が破壊されたり機体のなかに閉じ込められてしまうこともあるだろうし、氷のような冷たい水が浸水するであろうし、とにかく、皆が「NO!」といいはじめたのだった。

つまり最寄りの飛行場にのどれかに着陸できたはずだ、と警察は判断してきたのです。

わざわざ、水の上に降りなくてもというわけです。エンジントラブル上の疑問も浮上してきます。

二個のエンジンのうち、左エンジンは無事だったはずだと尋問側は主張をし始めます。もしそうなら空港までいけたはずだというわけです。

機長らは、2個ともダメだったと主張し、くいちがいがでてくるのです。

 

機長らは、乗客の命を救ったにもかかわらず、訴えられたのです。というか、もう一度検証のため尋問されるという立場ににおかれたのです。評議会のようなものでしょうか。外ではこの奇跡が華やかにニュースになって語られ、たくさんの人が機長を英雄として褒めたたえている最中のことです。

 

機長は追い詰められ、マスコミによって、我が家にも帰れない状態にあり、家族とは電話で話すのみでした。家族もマスコミの攻撃に会い行動がせいげんされてしまうのです。

電話のみでお互いを思いやりながら、尋問の日はやってきます。

 

面白いのは、別のパイロット達が、コンピューターのシュミレーションで、飛行機を操縦します。

このシュミレーションは、何度も何度も練習をした後に発表されたものでした。

鳥ががとんできます。エンジンにぶつかり、エンジンががこわれます。それでもシュミではうまく近場の滑走路に着地します。

何通りかの方法でもって

何度やっても着地可能と出ます。

ハドソン川不時着はやはりミスであったのか。…

暫くして

しかし実際の事故では、百五十五人もの人命を持って、とにかく命を守ることを考えたと、機長は主張しはじめます。

35秒以上考えたうえに決断したので、シュミの画面でも、35秒をいれて検証し直して欲しいと申しこみます。

すると、どうでしょう。どのシュミでも、飛行場にうまく着陸できないし、街に進入してビルに追突などしてしまうことがあきらかになってきたのです。ビルに追突して市中に墜落と。本当は大惨事になるところだったわけです。

おまけに、やはりエンジンは2個ともこわれていたことが証明されたのです。川から引き上げられたエンジンの検証の結果でした。

こういう場合、ハドソン川に不時着するしか、やはり手がなかったと全ての人が納得する結果となりました。

42年間も安全なフライトをやってきたベテランパイロットは人柄も温厚で、紳士のような白髪の男でした。ハンクスも、負けじと知的で地味なおっさんに変身していました。なんか特別どうってことないんですけどね。

どうってことのない映画って、なんか変わってるなあと思いますよ逆にね。

なんかとても冷静で水のような透明感のある後味があるのですよ。監督も高齢になって枯れてきたのでしょうか?

ただ何か、淡々としすぎていて、話が読み込みづらくて、二度見してやっと意味がわかりました。

やっぱ、おもしろくな〜い、というのが厳しい感想です。いやそうでもないか。けっこういいかも。

 

一度見だけで、わかる映画を作れ、マジソン郡よ。

 

 

 

 

 

こうして、

 

アイ アム ア ヒーロー 2016年 大泉洋主演 女優、有村架純。

なんかゾンビの映画らしい。ただ部屋が寒すぎて、ただ流して見ていた。座ると寒いので、立ったまま見た。だんだん場面が凄惨になってゆき、ウヘーといった状態になる。

有村を出しとけば見てくれるとでも思ってるのかー?

これは、コミック漫画では、迫力あって面白かろうとは思った。どっかの店の片隅で、チャーハンや餃子を食べながら、くつろぐときに読むコミックものだ。なんかあれってほんとおもしろいとかんじるのよね。

映画となれば、見方が変わっていくんで。ひと時代前にはゾンビがずいぶん流行って、すでに見飽きた感があった。映画館に入ると大抵がアメリカのゾンビ映画で見ざるを得なかった。テレビでもなんかいつも放映していて、みんな飽き飽きしていた。そしてそんなに流行った兆しもなく、自然消滅となり、若者達もヤレヤレと胸をなでおろしたのだった。ファッションにしても他のことでも何か取り入れる魅力が不足していた。誰かが躍起になってあれ程猛攻撃をかけたにもかかわらず、流行にもならずじまいで、あっけないものだった。

ゾンビとの壮烈な戦いが中心で、かっこいい男が美人の女を守ってゾンビだらけの街を縦横に走りまわるという話だ。愛する女をゾンビにはさせない。彼は自分がゾンビに噛まれてゾンビ化しているのもかまわず、最後の力を振り絞って女を守るのであった。

ついには愛が通じて、ワクチンで正常化するという話。

アイアムアヒーローも、こういう話だろうか?だいたいは似ていて近いものだろう。

なにかこれでもかというぐらいエグいっていうか、でも

ゾンビって何なの?怖いんかい?人間じゃないのか?一体ゾンビの何が怖いのだろう。

ストーリーは全く見ていなかった。ただ血だらけの死体がおびただしく街に散乱していた。

どんな物語がだったのか、ほとんど見ていなかったので全く知らないのだ。ひどいはなしになってしまった。

主人公はオレンジ色のキャップ帽をかぶった若者?大泉洋?いやー全然気がつきませんでした!

その事に一番驚いています!なぜ分からなかったのか、検証すべし、だ。

こっちの方がゾンビよりなんかより不気味だとおもうので。

 

ひょっとして、これって、「イン ザ ヒーロー」の間違いだったのかもしれない。

ある人に勧められてみたんだけど、これって、あまりにひどいものだったし、

イン  ザ ヒーローの方が絶対おもしろそうだ。唐沢主演だしね。

 

 

 

ヘイトフルエイト 2015 タランティーノ監督

新しげな作品なのに、ニキータや、パルプフィクションの監督なのに、期待しすぎたのかねえ。

これはちょっといただけないです。お金の無駄使いでしたね。

猛吹雪の中の一軒家、と言っても大きな家だが、ワイオミングって、こんなに雪が降るのね。吹雪に閉じ込められた数人の男と女一人が、この家の中でなぜか殺しあうという怖い話。

何もこんなこわーい映画作らなくったっていいのにさ。この監督ボケてきたんじゃねえの?

でも元からこんな支離滅裂の路線でしたからね。そういうのをウリにした人だしさ。

この映画夢も希望もねえ、寒さだけが増してくる変な作品だよ。おまけに皆が熊のように防寒服を着ていて、何が何だかわからない。コートの上に、毛皮を着ているような重ね着でーす。

おまけに、役者がドアの釘を打つ場面で、釘がガンガン打てねえの、男の癖に、腰抜けの役者というより、都会育ちの何もしたことのない俳優たちを平気で使ってるから、釘一本まともに打てないような演技をするんだよ。スッポコは釘打ちは父さん仕込みでうまいもんだよ。父さんは昔の人だから、何でもかんでも手作業をしていたものだ。

それを知らないタランティーノがバカなのか、ワイオミングの大自然に向ってしまったのはどういう風の吹きまわしってことです。

まあ、スッポコの家もまさかの大雪に埋まってしまいそうです。今年の雪はいつもとちがいます。人間をあざ笑うかのように、降るのですから。

この映画は、二段仕込みになっていて、バカみたいにみんな死んでいきます。ミステリーでも何でもありません。一人の女を巡って、皆がなぜか上や下への大バトルとなります。

毒殺シーンがヤマ場でしょうね。このなかにコーヒーに毒を入れた犯人がいる。あらかじめ女を助けようと4人の男がその家に入っていたのですが。しかし、誰が毒を入れたとか入れないとかの問題ではなくて、ただもう殺戮の現場があるだけですから。たぶん、派手にやりたかったのでしょう。

音楽は結構カッコいいわ。カントリー調でいいんだけどね、それも嘘寒い感じになりましたわ。